2022年第1四半期の実質GDP成長率は前期比2.5%
(ポーランド、ウクライナ、ロシア)
ワルシャワ発
2022年06月09日
ポーランド中央統計局(GUS)は5月31日、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(季節調整済み、確定値)が前期比2.5%だったと発表した。2021年第4四半期(10~12月)の1.8%から改善した。なお、前年同期比では9.2%だった(添付資料表参照)。
2022年第1四半期のGDPを需要項目別に前期比でみると、在庫品の増加が総資本形成の伸び44.2%増に貢献したためとなり、GDP成長の押し上げに大きく貢献した。国内需要は5.3%増で、うち個人消費は前期の1.4%減から回復し0.6%増となった。輸入(0.1%増)が伸びた一方で、輸出は2.1%減となり、外需(純輸出)は減速要因になった。
産業別に前期比をみると、運輸・倉庫業(4.2%増)、流通・自動車修理業(5.5%増)が伸びたほか、建設(4.4%増)、工業(2.5%増)などが好調だった。他方、3月1日から新型コロナウイルスの各種制限が大幅に緩和されたものの、1月中旬から2月中旬にかけてのオミクロン型変異株の感染急拡大の影響により、宿泊業・飲食業は24.8%減(前期も57.6%減)と振るわなかった。
今回の発表について、現地のエコノミストは記録的な在庫品増加の要因を、ウクライナ侵攻、物価の上昇、サプライチェーンの混乱、原料品不足などと指摘している。また、需給ギャップの拡大は物価の押上げ圧力として作用し、継続的な物価上昇(消費者物価がさらに上昇、オンライン)につながっているとの見方が強い。
ポーランド経済研究所は、企業が過剰な在庫の削減を始めている一方で、建材価格上昇を背景に、総資本形成の伸び率は縮小する、と予測している。総需要はウクライナ難民流入により安定化するものの、第2四半期からGDP成長率は大きく落ち込むとみている。
(ニーナ・ルッベ)
(ポーランド、ウクライナ、ロシア)
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