欧州の北海にコンテナ船が多数滞留、ハンブルク港など混雑が続く

(ドイツ、欧州、中国)

ベルリン発

2022年06月22日

キール世界経済研究所(IfW)は6月7日、貿易に関する指標(Kiel Trade Indicator、注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。コンテナ船の滞留は、5月には米国西海岸の港湾では解消されつつある一方で、欧州の北海で発生している状況が示された。

発表によると、欧州では「新型コロナ危機」以降初めて、北海において、コンテナ舶がドイツ、オランダ、ベルギーの主要港で入出港できず滞留する事態になっているという。その貨物量は世界の貨物量の約2%に相当。合計で約15万個のコンテナを積載する大型コンテナ船10隻以上が、ドイツのハンブルク港やブレーマーハーフェン港へ入港できず待機している。オランダ・ロッテルダム港やベルギー・アントワープ港の状況はさらに厳しいという。

また、中国の上海と浙江省沿岸では、世界の貨物量の3%以上が滞留。新型コロナウイルス感染対策による都市封鎖の影響を受けた上海港(2022年4月15日付地域・分析レポート参照)は、5月後半には出港可能な船舶が増加し、中国のその他の港湾の平均的な出港船舶数程度には回復したが、6月に入って出港船舶数は5月後半より約15%減少している。中国からドイツへの輸出額は、上海の都市封鎖の影響により最大7億ユーロ相当が消失した、との試算も示した。

ドイツ経済誌「ビルトシャフツ・ボッヒェ(WirtschaftsWoche)」6月15日号での、海運大手ハパック・ロイド(本社:ドイツ・ハンブルク)に対するインタビューによると、海上輸送は極めて困難な現状にあるという。搬入後のヤードでのコンテナの一時保管日数は、通常は3日だが、現在は6〜7日を要しており、ハンブルク港には貨物が山積みの状態になっている。入港する船舶数の多さに港が対応できていないためだ。さらに、港から荷受人への輸送の段階でも渋滞する状況だ、と説明された。同社は、港の混雑状況にあわせ、船舶のルートを変更し、空きのある港に迂回させることで、港湾の混雑緩和と輸送時間の短縮を図っている。ドイツ周辺海域における今後数週間の船舶の混雑状況の見通しについては、予測がつかないという。

(注)同研究所は、世界75の国と地域を対象に、貨物船の運航状況を把握・分析することで算出した、貿易に関する指標を月に2回定期更新している。

(中村容子)

(ドイツ、欧州、中国)

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