ボッシュ、スタートアップ企業への投資強化
(ドイツ)
ミュンヘン発
2022年06月15日
ドイツの自動車部品・電動工具メーカーのボッシュのベンチャーキャピタル部門であるロバート・ボッシュ・ベンチャーキャピタル(RBVC)は6月3日、スタートアップ企業への投資資金をさらに2億5,000万ユーロ確保したことを発表した。
RBVCはドイツのほか米国、中国、イスラエルに拠点を有する。米国は、これまでのカリフォルニア州サニーベールに加え、今回、マサチューセッツ州ボストンに拠点を新設する。RBVCが投資したスタートアップ企業は50社以上で、うち約3割が米国企業、約2割が中国企業。重点分野は人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、半導体、量子コンピュータなどだ。
RBVCは年間2,000社を超えるスタートアップ企業をピックアップして調査、そこから約100社に絞り込んで精査する。スタートアップ企業の分野は自動化、電動化、エネルギー効率化、ソフトウエア、医療技術などだ。年間6社から10社に対し、1社当たり最大2,500万ユーロまで投資する。今後は新型コロナウイルス禍や地政学的変化で生じたサプライチェーンの課題などを解決する技術も探索するという。
RBVCはスタートアップ企業に投資するだけでなく、「オープン・ボッシュ(Open Bosch)」と呼ばれるプログラムを通じ、ボッシュ本体との技術的協業の支援も行っている。これにより、スタートアップ企業がボッシュのサプライヤー、顧客、協業先になる道も開けているとする。ボッシュとして既にスタートアップ企業と数百の連携があり、2021年だけでその数は3倍に拡大したという。ボッシュのシュテファン・ハルトゥング取締役会会長は「スタートアップ企業に対するボッシュの投資はビジネスや社会の技術的進歩に寄与している。同時に、スタートアップ企業との協業は、複雑化する課題をより早く、効果的に、よりよいかたちで解決できることが多いため、ボッシュにとってもメリットがある」と説明している。
(高塚一)
(ドイツ)
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