国民議会選挙、大統領与党連合が優勢との予測

(フランス)

パリ発

2022年06月09日

6月12日に第1回投票、6月19日に決選投票が行われる国民議会選挙(注)に向け、エマニュエル・マクロン大統領の与党連合と急進左派「不服従のフランス」のジャン=リュック・メランション氏率いる左派連合が激しく争っている。

民放ニュース専門局LCIが6月8日に発表したイフォップ(IFOP)の世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(6月3~6日実施)は、マクロン大統領の支持政党「ルネッサンス(旧・共和国前進)」を軸とする与党連合「アンサンブル」が250~290議席(議員定数577議席、289議席が過半数)を獲得し、多数政党になると予測した。

一方、「不服従のフランス」が社会党、ヨーロッパ・エコロジー・緑の党(EELV)、共産党と選挙協力で合意して結成した左派連合「環境・社会 新人民連合(NUPES)」は195~230議席を獲得し、野党第1党に躍進するとの見通しだ。同調査によれば保守連合(共和党および中道諸派)は40~55議席と後退する一方、大統領選の決選投票でマクロン大統領と争ったマリーヌ・ルペン氏の急進右派「国民運動(RN)」は20~45議席を獲得し、議席数を現行の6議席から大幅に増やすものとみられる。

5月19日に発表された左派連合の選挙公約外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、メランション氏は「環境・社会 新人民連合」が国民議会で単独過半数の議席を獲得すれば自身を首相とする新内閣を発足させることが可能だと訴え、反マクロンで結集するよう求めている。公約には、法定最低賃金(SMIC)の1,500ユーロへの引き上げ、定年退職年齢の60歳への引き下げ、生活必需品(ガソリン、食品、エネルギー)の価格凍結など国民の人気を集める政策が盛り込まれた。

EUの政策については、自由貿易協定は環境保護の目標達成を阻害し、ソーシャルダンピングや(域外への)生産移管を促進するものであり、共通農業政策は生産性重視で有機農業や家畜福祉を尊重しないと批判し、「EUの一部の規制に従わない」ことに備える必要があるとの方針を明示している。

(注)国民議会選挙は、577議席を1選挙区1人選出の小選挙区制で改選する。第1回投票で過半数かつ有権者数の4分の1以上の票を得た候補者がいない場合、12.5%以上の票を獲得した候補者が決選投票に進む。なお、得票率12.5%以上の候補者が1人もいない場合、もしくは条件を満たす候補者が1人のみの場合は、上位2候補が決選投票に進む。

(山崎あき)

(フランス)

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