カナダ政府、温室効果ガス・オフセット・クレジット制度開始、第1弾は「メタン回収・分解」
(カナダ)
米州課
2022年06月15日
カナダ政府は6月8日、2022年3月に発表した「2030年までの排出量削減計画」に重要措置として盛り込んでいる「温室効果ガス・オフセット・クレジット制度」を始動させたことを発表した。
発表によると、同制度の下で登録参加者は、特定の種類のプロジェクトについて温室効果ガス(GHG)の排出または削減の量を測定するための一貫したアプローチを定めた「連邦オフセット・プロトコル」に従ってプロジェクトを実施する。大気中の排出量を1トン削減または除去するごとに、取引可能な「オフセット・クレジット」を1単位生成することができる。獲得したクレジットは、他のプロジェクトとの間で売却することができ、炭素汚染価格制度の下でのコンプライアンス義務や排出削減目標の達成に役立てられるようになる。
今回発表した第1弾の連邦オフセット・プロトコルは、廃棄物などの埋め立て処理を行う産業の「メタン回収・分解」を対象とするもので、現在は「高度冷凍」「農業」「森林管理」を含むほかの分野を想定した4種類の新たなオフセット・プロトコルの導入を検討しているという。環境・気候変動省は、大気中の二酸化炭素を直接除去し、地下に永久的に貯蔵する技術「大気中二酸化炭素直接回収・貯留(DACCS)」を次の段階の導入対象としている。
スティーブン・ギルボー環境・気候変動相は「まずは埋め立て地(でのメタン回収・分解)を手始めに、企業や自治体が汚染を削減する技術やイノベーションに投資するインセンティブを与える市場ベースのメカニズムを導入する」と述べており、「今後1年間で、林業や農業などほかのセクターの活動についても、多くのオフセット・プロトコルを展開する予定」としている。
農業業界ブラック ジャック トランプ 無料サイトによると、第2弾は「冷凍」分野で、今秋に発表されるという(「リアル・アグリカルチャー」6月8日)。
カナダの温室効果ガス・オフセット・クレジット制度は「汎(はん)カナダ温室効果ガス・オフセット・フレームワーク」に沿って、カナダ全土から集約した専門知識が盛り込んだものとなっている。アルバータ、ブリティッシュ・コロンビア、ケベックなどの州は、既に州独自のオフセット・クレジット・プログラムを立ち上げており、その経験を共有して連邦政府の制度設計をサポートしている。オフセット・クレジットの利用が可能になることで、排出量を削減するための経済活動へのイノベーションや民間部門の投資が促進され、脱炭素経済におけるカナダの競争力を維持することが期待される。
(高山さわ)
(カナダ)
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