英政府、コンピューティング政策と研究開発への投資増額を発表
(英国)
ロンドン発
2022年06月14日
英国政府は6月13日、コンピューティングへの取り組みに関する政策文書「コンピューティングの未来のレビュー(Future of Compute Review)」を発表した。政府によると、英国企業の90%がクラウドを利用し、その市場は急速に成長しており、コンピューティングは生産性などの向上に資する一般的な重要技術として成長してきた。政府はこの状況を踏まえ、レビューを通じて英国を科学技術大国にするという目標に向けた政府の取り組みにつながる提言を作成する予定だ。レビューの目標は以下のとおり。
- 今後10年間における英国のコンピューティングへのニーズの理解
- 研究・産業界が国際競争力のあるコンピューティングへのアクセスを確保するため、費用対効果の高い施策の検討
- 2030年までの「統合レビュー」や「科学技術大国」の実現に向けたコンピューティングの役割についての見解確立
政府はレビューの中で、コンピューティングを戦略的、かつ全てに関わる資源と見なすとし、半導体などの部品供給や利用者の技術、供給事業者に関する分析をする必要があるとした(政府の同日付発表)。
ロンドンで6月13日から17日までロンドン・テックウイークが開催されている。リシ・スーナック財務相は13日の開会式で、先進的なコンピューティングとクラウドは人工知能など将来の技術を強化するために英国にとって不可欠としたほか、特に資本、人材、アイデアという3つのツールを活用することが重要だと述べた(政府の6月13日付発表)。
同財務相は、英国が多くの技術系ユニコーン企業を生み出しており、フィンテック、ライフサイエンス、クリエーティブ産業に大きな強みを有しているとし、ベンチャーキャピタルによる投資額についても、2021年には前年から倍増し、ロンドンが世界で第4のベンチャーキャピタルの投資先都市となっていることを紹介した。一方で、研究開発投資に対して巨額の資金を投入しているにもかかわらず、しかるべき効果を発揮できていないとした。そのため今後数年間、研究開発への政府投資を約50%増やすとした。人材の面では5月に、世界のトップレベルの大学卒業生向けのハイポテンシャル・インディビジュアル(HPI)ビザ(関連ブラック ジャック ディーラー)を発表したと紹介した。
(島村英莉)
(英国)
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