バイオデータバンク、熱中症対策デバイスを欧州で販売開始
(フランス)
パリ発
2022年06月24日
熱中症予防のウェアラブルデバイスを開発するバイオデータバンク(Biodata Bank、本社:東京都渋谷区)は、6月から欧州市場への販売を開始した。4月11日に、フランスに子会社バイオデータバンク・ヨーロッパ(Biodata Bank Europe)を設立していた。
同社の欧州展開の進展について、6月22日に、安才(あんざい)武志CEO(最高経営責任者)にインタビューした。概要は以下のとおり。
バイオデータバンクは、深部体温(脳や内臓の温度)を非侵襲的に推定する独自技術を有するスタートアップだ。
同社は2021年夏に、フランス建設業災害防止団体(OPP-BTP)および建設分野の事業者も加入する大手保険団体(PRO-BTP)との提携により、同社の「熱中対策ウォッチ カナリア™」を用いた880人規模の実証実験をフランス全土で実施した(熱中症対策ウェアラブルデバイス開発のバイオデータバンク、ブラック)。OPP-BTPが4月に発表した同実験の公式レポートにおいて、同社のカナリアは熱中症を予防するデバイスとしての適切性を確認できると結論づけられた。
フランス全土での実証結果が評価されたことを追い風に、バイオデータバンクは、同社にとって欧州で初の代理店となるフランスのデスクール・エ・カボー(Descours&Cabaud)(産業用品卸売業者大手)およびグループ・エールジェー(GROUPE RG、個人用保護具卸売業者大手)と、2022年5月にパートナーシップを提携。6月から、大手建設企業のユーロビア・バンシ(Eurovia- Vinci)やエファージュ(Eiffage)など実証実験に参加した企業を中心に製品の販売を開始した。さらに建設業界以外でも、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)グループ傘下の大手シャンパンメーカー、モエ・エ・シャンドン(MOET&CHANDON)や世界最大級のガラスメーカーであるサンゴバンでも活用されている。フランス、スペイン、ベルギーへと販売先が拡大している。
同社の安才CEOは「フランスでの実証結果が公式に発表されてから、欧州のみならず、北米、南米、中東など世界各地からの引き合いが増加している」「地球温暖化で暑さが厳しさを増すなか、SDGsの観点からも、暑熱対策に困っている世界中の方々へ製品をお届けすることで、世の中に貢献したい」と語った。
ジェトロは同社の欧州展開に当たり、2019年から「」事業の一環として、フランスにおけるパートナー探しなどの支援を提供している。
(遠藤朋美)
(フランス)
ビジネス短信 0b5dd16167f6828b