第12回WTO閣僚会議、多国間ルールで一致
(世界)
国際経済課
2022年06月20日
第12回WTO閣僚会議(MC12)が6月12~17日にジュネーブで開催された(注)。2015年12月に開催されたMC10以来6年半ぶりに閣僚宣言が出されるなど、多国間で取り組むべき方向が一致した。食料不安への緊急対応に関する閣僚宣言、世界食糧計画(WFP)の食料購入の輸出禁止または制限の免除に関する閣僚決定、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)に関する閣僚決定といった緊急事態への対応や、電子商取引に関する作業計画、漁業補助金協定などを採択した。
食料不安への緊急対応に関する閣僚宣言では、「食料安全保障の懸念に対処するために導入された緊急措置が、可能な限り貿易の歪(ゆが)みを最小化し、一時的で、対象を絞り、透明性があり、WTO規則に従って通知され実施されることを確保する」ことへの決意などが盛り込まれた。WFPの食料購入に関する閣僚決定では、WFPが非商業人道目的で購入した食料に対して、「輸出禁止または制限を課してはならない」とした。
TRIPS協定に関する閣僚決定では、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)パンデミックに対処するために必要な範囲で、権利者の同意なく新型コロナワクチンの製造及び供給に必要な特許を使用できることを認めた。
電子商取引に関する作業計画では、電子的送信に関税を課さないという現在の慣行を2023年中の開催が見込まれるMC13まで維持することに同意した。ただし、MC13の開催が2024年3月31日以降にずれ込む場合は、同日までに閣僚または一般理事会が延長の有無を決定する。なお、今回の決定では、範囲、定義、影響を含む定期的なレビューを行う旨が盛り込まれた。
漁業補助金協定については、IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)に対する補助金の禁止や乱獲状態の資源に関し、資源回復の取り組みを伴わずに供与される補助金の禁止について加盟国全体で合意した。包括的合意を達成する追加条項をMC13に勧告する目的で、MC12開催前に提示された課題に基づく交渉を継続することなどが確認された。
(注)当初6月15日までだった会期は、交渉調整のため延長された。
(朝倉啓介)
(世界)
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