山東省、RCEP協定に基づく原産地証明書の発給件数が全国首位に

(中国)

青島発

2022年05月18日

山東省政府の発表によると、同省(青島税関、済南税関、中国国際貿易促進委員会山東省委員会)における2022年1~3月の「地域的な包括的連携(RCEP)協定」を利用した貨物輸出に対する原産地証明書の発給件数が2万4,000件に達し、全国首位となった(「大衆日報」4月12日)。同協定は、2022年1月より日本と中国を含めた計10カ国で発効し、その後、2月1日には韓国について、3月18日にはマレーシアについて発効しており、5月11日時点では計12カ国で協定が適用されている。山東省内では、同期間中に、主に衣類、プラスチック製品、化学品、農林水産品といった輸出品を取り扱う企業が、同協定加盟国との間で総額7,000万元(約14億円、1元=約20円)以上の関税減免を享受している(同)。

山東半島の東端に位置する威海市政府の発表によると、2022年1~3月のRCEP加盟国との貿易総額が前年同期比10.2%増の237億9,000万元(約4,758億円、1元=約20円)となった。なお、同期間における同市の貿易額に占めるRCEP加盟国との貿易額は5割超となっている。同税関の宗西林科長は、「同協定による関税減免を受け、市内にある、対日輸出を取り扱う多くの企業の受注量も倍増した」とコメントするなど、RCEPを活用した日本とのさらなる貿易の拡大が期待されている。

省・市レベルでのRCEP積極活用に向けた政策展開や取り組み進む

前述のとおり、山東省内企業のRCEPの利活用が広がっている背景の1つには、山東省や各市レベルでの利活用推進に向けた政策や取り組みの推進も指摘できる。山東省政府は2022年3月、RCEP協定による機会拡大の周知を目的として、山東省企業を対象とした「RCEP協定に関する9項目の措置」を発表。主な内容は(1)輸入時の優遇措置の分析システム開発、(2)企業に対する低税率の協定税率選定指導、(3)企業の優遇政策活用の円滑化を促進するプラットフォーム構築、などだ。

各市レベルの取り組み事例としては、煙台市が2月28日、全国の専門家や大学教授を招き、市内の貿易関連企業を対象としたRCEPに関するオンライン研修会を開催。威海市は4月、市の法律協会と共同で、RCEP協定内の知的財産部分に焦点を当てた「RCEP協定知的財産保護手引き」をまとめるなど、政府によるハイパーブラックジャック提供への取り組みも進んでいる。

(西島和希)

(中国)

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