電力需給逼迫で日系企業の操業への影響懸念

(インド)

ニューデリー発

2022年05月13日

インド北西部のラジャスタン州政府は4月28日、州内の計画停電を開始した。前日の27日付で発表した通達によると、工業団地では当面の間、午後6時から午後10時までの4時間、使用量上限が契約量の半分に制限される。制限対象には国内最大の日本企業専用工業団地のニムラナ工業団地も対象に含まれており、入居する日系企業48社は対策を余儀なくされている。

国内では新型コロナウイルス感染者の減少を受け、4月以降、経済活動の再開が本格化している。その一方で、北部地域での記録的猛暑による電力需要増加も加わり、現在は発電能力の7割以上を占める石炭火力発電所向けの石炭と石炭輸送用貨車の供給が需要に追いついていないと報じられている(「エコノミック・タイムズ」紙4月29日)。同紙によると、石炭火力発電所の石炭在庫は過去9年間で最少、石炭輸送用貨車も必要量を6%下回っている状況だ。政府は国内の石炭製造能力増強や、貨車追加供給、石炭輸入量増加の対策を打ち出しているものの、予断を許さない状況が続き、ラジャスタン州だけでなく、デリー準州やハリヤナ州など多くの州で電力需給が逼迫している。

加えて、デリー首都圏に進出する日系企業の頭を悩ましているのが、2022年10月1日から施行予定の「発電機使用規制PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」だ。同規制は、デリー首都圏の大気汚染対策として2月8日付で発表されたもので、発電機の燃料を液化石油ガス(LPG)、天然ガスなどに変更するか、排気ガス浄化装置設置などの措置を講じない限り、発電機の使用を認めないとする内容だ。停電対策として工業団地敷地内にディーゼル発電機を設置している日系企業は、この規制施行後、設置済み発電機が使用できなくなることになるため、大きな問題となっている。

現在、ラジャスタン州政府投資局と州電力会社は、規則がそのまま施行された場合に進出企業に与える影響を精査している状況だ。両者は中長期的な解決策を探る意向を示しており、日系企業は規則をめぐる今後の動向を注視している。

(波多野知行)

(インド)

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