欧州特許庁と欧州投資銀行、ブラック ジャック ゲーム ルール
(EU)
ブリュッセル発
2022年05月10日
欧州特許庁(EPO)と欧州投資銀行(EIB)は4月28日、高度なデジタル技術開発でEUの中小企業が直面する障壁を分析した報告書を共同で発表した(EIBプレスリリース)。報告書では、単に先進的技術を利用しているだけでなく、積極的に特許を取得している中小企業625社を対象とし、先端技術系中小企業が直面する課題を分析している。調査対象企業の80%は従業員50人未満、42%は設立10年未満だ。産業分野別では、ヘルスケア、運輸、クリーンテック、データ分析の分野にまたがり、全体の44%は製造業に携わっていた。
同報告書によると、スマートコネクテッドデバイスを筆頭とする、クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、第5世代移動通信システム(5G)、人工知能(AI)などのいわゆる第4次産業革命(4IR)技術に関する特許出願数では、世界の約15%をEU企業が占め、米国、日本に次いで多い。欧州では4IR関連の特許出願数の全体の10%を中小企業が占めるのに対し、米国は16%と、EUの中小企業の4IR技術の専門性は相対的に低く、調査結果では米国、日本、中国、韓国などの企業が高い専門性を示しているという。4IR技術を開発する中小企業の数を比べると、米国ではスマートコネクテッドデバイス関連の特許を取得している中小企業が6,517社あるのに対し、EUはその半分以下の2,634社にとどまっている。
EU加盟国別で4IR技術を開発する中小企業の数をみると、ドイツ、フランス、イタリアの順で多い(添付資料表参照)。また、フィンランド、スウェーデン、アイルランド、デンマークといった一部の加盟国では、小規模な4IR企業が集積し、他の加盟国や米国と比べても国の規模に対して同企業数が多い。EU域外の欧州では、英国、スイス、ノルウェーも同企業数が多い。
EU・米国ともに中小企業の課題は共通
調査結果によると、EUで4IR技術を開発する先端技術系中小企業の4分の3が資金調達と熟練した人材の不足をビジネスの障壁として挙げた。この傾向は米国でも同様だった。報告書では、EUと米国でこれらの企業は平均以上の投資能力を持っているものの、高い開発費と革新的な技術を市場に投入するまでの時間が必要なことが課題として示されたと指摘した。また、4IR関連技術を開発する中小企業の49%が特許を資金調達のために非常に重要と考えており、80%が企業としての知的財産戦略を有することが投資家への訴求力となると回答している。
EIBによると、2021年に同行として過去最高額となる207億ユーロをデジタル技術や最先端技術を含むイノベーション支援の融資に充てた。報告書では、技術革新型新興企業のビジネスを軌道に乗せるため、的を絞った補助金とこれらの企業が開発後期に利用できるより大規模な資金調達の組み合わせなどの財政支援策などを提言した。なお、EPOは特許出願に関する報告書を毎年発表し、2021年分は4月に発表している(欧州特許庁、ブラック ジャック。
(大中登紀子)
(EU)
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