米主導の「インド太平洋経済枠組み」、バイデン大統領訪日時に正式立ち上げへ
(米国、日本、韓国、ASEAN)
ニューヨーク発
2022年05月18日
米国のジーナ・レモンド商務長官は5月17日、バイデン政権が提唱する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」について、ジョー・バイデン大統領の5月下旬の訪日時に正式に立ち上げると明らかにした。同日行われた記者向け電話会見での同長官の発言を、複数の米国メディアが報じた。
バイデン大統領は5月20~24日に韓国と日本を訪問する予定だ(関連ブラック ジャック トランプ)。政治専門誌「ポリティコ」(5月17日)によると、レモンド長官は電話会見で「インド太平洋地域のカウンターパートと多くの時間議論した。彼らからは、米国が(インド太平洋で)より大きな存在感を示し、積極的な経済戦略をとるべきだという大きな要望が寄せられている」と語った。大統領の日韓訪問には、レモンド長官も同行する(通商専門誌「インサイドUSトレード」5月17日)。
IPEFは、(1)公平で強靭(きょうじん)性のある貿易、(2)サプライチェーンの強靭性、(3)インフラ、脱炭素化、クリーンエネルギー、(4)税、反腐敗、の4つの柱から構成される通商枠組みで、レモンド長官と米国通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表が担当閣僚となっている。バイデン大統領が2021年10月の東アジアサミットでIPEFに初めて言及して以降、両閣僚はインド太平洋地域諸国とIPEFに関して議論を重ねてきた()。
IPEFへの参加が見込まれるASEAN諸国の首脳からは、5月12~13日に行われた米ASEAN特別サミットで訪米した際、米国との協力に前向きな発言も出ている(2022年5月17日記事、2022年5月18日記事参照)。米国シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のマシュー・グッドマン上級副所長は5月17日に実施した記者向け説明会で、IPEFで米国が参加国に提供する利益がまだ不明瞭とする一方、IPEFは、インド太平洋地域での安全保障・外交政策を補完するために、信頼性と持続性のある経済戦略が必要という米国の認識の表れだと指摘している。
(甲斐野裕之)
(米国、日本、韓国、ASEAN)
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