電気自動車(EV)産業育成法が成立
(フィリピン)
マニラ発
2022年05月11日
ドゥテルテ大統領は4月15日、フィリピンにおいてEV(注1)の生産・導入に当たって制度的なフレームワークとなる「EV産業育成法案」(共和国法第11697号)に署名した(「ビジネス・ワールド」紙2022年4月26日)。同法案は、EVを「化石燃料への依存を低減させる適切な輸送手段」と位置づけ、EV産業を振興させることを趣旨としている(特集:アジア大洋州で加速する電気自動車の普及の取り組みトランプ)。法案は5月11日に成立した。
法案の概要は以下のとおり。
- EV産業の振興や、EVの商用化および導入を目的とした国家的な産業開発計画である「包括的なEV産業ロードマップ」(CREVI)の策定を規定する。
- 貨物物流会社、食品宅配会社、旅行業者、ホテル、電気事業者、水道事業者などの企業は、保有もしくはリースする車両のうち最低5%をEVとする必要がある。EV車両導入にあたっての具体的なタイムスケジュールはCREVIにて定める。
- 公共交通機関を運営する事業者や政府機関においても、保有もしくはリースする車両のうち最低5%をEVとする必要がある。
- 本法案の成立以降に建設される建物、施設はEV専用の駐車スペースを設置しなければならない。加えて、20台以上の車両を収容可能な駐車スペースを有する場合、最低5%の駐車スペースはEV専用とする必要がある。
- EVの製造・組み立てや充電スタンド、バッテリー、部品の製造およびEVの研究開発などついて、戦略的投資優先計画(SIPP、注2)における各種優遇措置の対象となり得るのか、今後評価する。
(注1)本稿において、「EV」は「車両の推進にあたって少なくとも1つの電気駆動を搭載する車」を指している。
(注2)2021年4月に発効した「CREATE(法人のための復興と税制優遇の見直し)法」では、SIPPに該当する新規事業について、一定期間の法人所得税免税などの各種優遇措置を受ける。ただし、2022年5月10日時点でSIPPは策定中。
(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)
(フィリピン)
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