政府が洋上風力への大規模投資を発表
(ノルウェー)
ロンドン発
2022年05月12日
ノルウェー政府は5月11日、洋上風力発電への大規模投資を発表した。洋上風力発電の風力タービンを現在稼働中の2基から約1,500基へ、20年かけて増加する予定。まずは、2025年に新たな海域での洋上風力ライセンス付与を目指すとしており、2040年までに発電容量で30ギガワット(GW)分の割り当てを行うとしている。
政府は洋上風力発電をグリーン産業強化の中心として位置付けている。今回の投資により、国内の既存および新規産業に対するクリーンで安価な電力の供給、技術輸出の機会創出、欧州のグリーン移行への重要な貢献という3つの政府の目標を達成することができるとしている。
ヨナス・ガール・ストーレ首相は今回の投資の背景として、手頃な価格で再生可能なクリーン電力の発電、気候変動に関する目標達成、ロシアからの代替エネルギーとして欧州で今後さらなる電力需要が見込まれること、バッテリー生産、水素生産、新たなアルミニウム開発への投資など計画段階の産業での需要増を挙げた。
洋上風力発電の増加は、石油採掘に必要な電力需要をカバーすることにもつながるほか、グリーン水素にも大きく投資できることを意味している。また、今回の投資計画で発電予定の電力は国内では全て消費できないため、欧州に電力を輸送するグリッドが必要になるとしており、プロジェクトごとに最適な技術を導入するとしている。
政府は2月にも南ノルウェー海の洋上風力発電プロジェクトへの入札計画を発表。同海域でのプロジェクトはフェーズ1とフェーズ2に分かれており、入札計画が発表されたのはフェーズ1。発電容量はそれぞれ1.5GWとなっている。入札には同国企業のエクイノール、スウェーデンのバッテンフォール、英国シェル、英bp、フランスのエンジー、ドイツのEnBW、ポルトガルのEDP、デンマークのオーステッドなどが関心を示していると報じられている(「ロイター」5月11日)。なお、ノルウェー政府は西部沿岸のウッチラ・ノール(Utsira Nord)でも浮体式洋上風力発電プロジェクトを計画している。
(島村英莉)
(ノルウェー)
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