シュコダ・オート、BEV用バッテリーの生産開始
(チェコ)
プラハ発
2022年05月24日
チェコ最大の乗用車メーカー、シュコダ・オート〔フォルクスワーゲン(VW)グループ〕は5月17日、ムラダー・ボレスラフ(中央ボヘミア)本社工場で、バッテリー式電気自動車(BEV)用バッテリーシステムの製造を開始したと発表した。これはVWグループが開発したBEV向けモジュラープラットフォーム「MEB」(注)に対応したもので、ドイツ国外では欧州唯一のMEBバッテリーシステム製造拠点だ。
シュコダ・オートは、既に2019年9月から同社とVWグループ内の他のブランド向けにプラグインハイブリッド車用バッテリーを生産している(シュコダ・オートの2019年9月の発表)。今回のBEV用バッテリーシステムの生産ライン導入の投資額は約1億3,000万ユーロで、年間25万台以上の生産を見込んでいる。製品はシュコダのほか、VW、アウディ、セアトにも供給する予定だ。
今回の新ライン稼働が持つ意義に関して、シュコダ・オートの製造・ロジスティクス担当取締役ミヒャエル・オリクラウス氏は「MEBバッテリーシステムの生産開始により、われわれは自社で絶対的に重要な部品の製造を担ったことになる。電気自動車(EV)への移行を成功させる上で、また1つの目標を達成したのだ」と述べている。同社のクリスティアン・ブライエル部品製造部長によると、次の目標として、シュコダ・オートは2023年末までにバッテリーシステムの生産台数を38万台まで引き上げることを掲げている。さらに、2030年までにチェコ国内の3つの生産拠点の全てでEVもしくは同部品を生産する意向だ。
シュコダ・オートは、2019年11月にスロバキア・ブラチスラバのVW工場で最初のBEV「シティゴe iV」の製造を開始し、2020年11月に同社初の国産BEV「エニヤックiV」の生産を開始した(関連ブラック ジャック カード)。同社は2030年までにBEVのラインアップに少なくとも3モデルを追加することを目指している。
チェコ自動車工業会の1月のデータによると、2021年の「エニヤックiV」の生産台数は4万9,701台で、同年のシュコダ・オートの全乗用車生産台数の7.3%を占めた。ただし、2022年1~4月の「エニヤックiV」の生産台数は1万3,032台(前年同期比17.6%減)にとどまった。2月以降のロシアによるウクライナ侵攻のため、ウクライナからの部品供給が停止した影響(第1四半期の乗用車生産台数は前年同期比18.9%減、ブラック)とみられる。
(注)Modularer E-Antriebs-Baukastenの略。VWが開発したBEV向けモジュラープラットフォーム(共通設計・部品共通化のための基盤)。
(中川圭子)
(チェコ)
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