4月の新車販売台数、前年同月比8割減

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年05月18日

ロシアの自動車販売市場が大きな打撃を受けている。在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)の発表(5月11日)によると、4月の乗用車と小型商用車の新車販売台数は前年同月比78.5%減(3万2,706台)と大きく落ち込んだ。この減少率は、過去の統計が確認できる2009年以降で最も大きかった。

AEB自動車製造者委員会のアレクセイ・カリツェフ委員長は販売不振の理由として「市場での自動車の不足と販売価格の上昇」を挙げている。ウクライナへの軍事侵攻以降、部品の供給不足などを理由に、日系を含めたほとんどの外国自動車メーカーがロシアでの生産を停止している。国内の乗用車価格は1カ月で30~60%上昇した。カリツェフ氏は今後の見通しについて「国内での自動車生産がいかに早期に再開されるかにかかっている」とした上で、仮に下半期から生産開始となった場合、2022年の新車の販売台数は80万~85万台になると予測している(「ベドモスチ」2022年4月21日)。AEBが1月に予測した172万台と比べ(関連実写 版 ブラック ジャック)、およそ半減する見込み。

ブランド別販売台数では、地場乗用車最大手アフトワズのラダ、起亜、現代が上位3位を占める構造に変化はなかったものの、ほとんどのブランドで前年4月と比べ7割を超える落ち込みとなった(添付資料表参照)。これまで好調だった中国車も低迷。中国ブランドの中で最多の長城汽車のハバルは前年同月比72.9%減(812台)、次いで人気のチェリー(奇瑞汽車)も同83.3%減(497台)と振るわなかった。一方、地場メーカーのガズとウアズは落ち込み幅が比較的小さく、順位を上げた。

足元では安定している中古車市場も、今後は縮小が見込まれる。軍事侵攻直後の2月末から3月上旬にかけて自国通貨ルーブルが下落する中、消費者が資産獲得を目的に中古車の購入に走ったことなどもあり、第1四半期(1~3月)の中古車販売台数は前年同期比8.6%増の120万9,000台となった(「ベドモスチ」4月14日)。しかし、新車市場ほどの急激な縮小は見込まれないものの、通年で20%程度の落ち込みになると専門家は予測している(「コメルサント」2022年4月20日)。

【欧州ロシアCIS課】

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