悪意あるソーシャルメディア利用者特定に向けたアプリ発表
(英国)
ロンドン発
2022年05月30日
英国政府は5月17日、ソーシャルメディアの悪意ある利用者を特定するための新たなアプリ「シンク・ビフォー・ユー・リンク(Think Before you Link)」を発表した。このアプリは国家インフラ保護センター(CPNI)による取り組みの一環で、偽のプロフィールを使用している可能性がある利用者の特定や、疑わしい利用者を報告、排除することができる。政府は同アプリ発表の背景として、近年増加する国家主体によるオンラインでのスパイ活動があるとしている。政府はこうしたアプリの意義として、利用者が自身でデジタル上のデューディリジェンスが行えることを挙げ、そうした脅威への利用者の意識を向上させることが目的とした。
アプリは無料でダウンロードが可能。利用者はリンクトイン(LinkedIn)、フェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)、インスタグラム(Instagram)といったメディアの中で疑わしいアカウントから接触を受けた場合に、アカウントのプロフィール画像をアップロードすることで、画像が写真素材でないか検査を行うことができる。さらに疑わしい場合には、アカウントへのリンクや、疑わしいと考えた理由などを含めて、報告を行うことも可能。報告されたアカウントについてはCPNIが調査し、条件を満たす場合、各メディアサービスを提供する企業に共有して削除を可能にするとしている。
政府によると、2021年に1万人超の英国人が悪質な利用者の標的になったとされている。リンクトインは、2021年1月~6月に1,160万の偽アカウントを登録段階で排除したとしている。
(山田恭之)
(英国)
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