シノバックのワクチン製造工場の建設がチリで始まる

(チリ、中国)

米州課

2022年05月18日

中国シノバック・バイオテックのワクチン製造工場の建設が5月12日、サンティアゴ北部のキリクラ区で始まった。同工場の構想は2021年11月に報じられたが(関連実写 版 ブラック ジャック)、約半年を経ての着工となった。2023年上半期の完工が予定されており、建設にあたっては1億ドルの投資が見込まれている。同社にとって中南米初のワクチン工場建設となるが、新型コロナワクチンだけでなくインフルエンザやA型肝炎などのワクチン製造も予定されており、年間5,000万回分の製造を計画している。同工場で製造したワクチンはチリだけでなく、他の中南米諸国への輸出も予定されている。

工場の建設開始にあたり、シノバック・バイオテック・チリのビルヒニア・ガレトン副社長は「当社はチリや中南米諸国の公衆衛生に貢献すること、病との戦いに役立つワクチンを製造すること、研究開発の促進のため官民の学術研究を進めることを目的としている」と述べ、将来的に他の種類のワクチン製造への関心も示した。また、フラビオ・サラサル科学・技術・イノベーション相は、チリが長年離れていたワクチン製造産業への再参入となることへの期待を見せた。

シノバックの工場建設に当たっては、チリのカトリカ大学の支援もあった。両者は共同での新型コロナワクチンの臨床試験の実施など従前から緊密な関係にあったが、2021年11月には研究開発の協定を締結。今後もオミクロン株に特化した新型コロナワクチンやインフルエンザワクチンの研究で協力していく予定だ。

(佐藤輝美)

(チリ、中国)

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