民主化進めたケニア前大統領が死去
(ケニア)
ナイロビ発
2022年05月02日
ケニアの前大統領のムワイ・エミリオ・スタンリー・キバキ氏が4月22日に死去した。享年90。訃報が伝えられた同日、ナイロビ市内は大渋滞に見舞われた。政府は29日にナイロビのニャニョスタジアムで国葬を行い、同氏の命日を祝日にすることを発表。30日には同氏の地元ニエリカウンティで告別式が行われる予定だ。
キバキ氏は2002年から2期10年にわたって大統領を務めた。独立後、初めて政権交代を果たし、民主化を進めたことで知られている。一方で、一部の民族を優遇する政策などが批判され、2007年にはライラ・オディンガ氏との一騎打ちとなった大統領選では、1,000人以上の死亡者が出る国内紛争が発生した。その後、コフィ・アナン氏の仲介で歴史的な和解を果たし、連立政権を樹立した。
ケニヤッタ大統領はキバキ氏死去を伝える演説で「キバキ氏は大変苦労し、この国のためにさまざまなことを成し遂げた。彼は私たちの生活を改善するために献身し、たゆまぬ意志を持って国に奉仕した」と述べ、複数政党制を切り開いたリーダーの功績をたたえた。
2007年の大統領選でキバキ氏に敗れ、2008年から2013年までの連立政権で首相を務めたライラ・オディンガ氏も、キバキ氏へ哀悼の意を表明した。1992年、1997年、2013年、2017年にも立候補し、合計5回の落選を経験した77歳のオディンガ氏は、8月9日に行われる大統領選挙への立候補を表明している(2022年4月5日付地域・分析レポート参照)。
(久保唯香)
(ケニア)
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