マクロン大統領、新首相にボルヌ労働相を指名、女性首相は30年ぶり2人目
(フランス)
パリ発
2022年05月18日
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5月16日、同日に辞表を提出したジャン・カステックス首相の後任にエリザベット・ボルヌ労働・雇用・社会復帰相を指名した(大統領府の5月16日付発表)。フランスで女性首相が誕生するのは、1991~1992年のエディット・クレッソン首相(フランソワ・ミッテラン左派政権)以来30年ぶりで、同国史上2人目となる。
5月7日に2期目の就任式を行ったマクロン大統領は17日付の自身のツイッターで、ボルヌ首相に対し「環境、医療、教育、完全雇用、民主主義の再生、欧州と安全保障(について)、一緒に、新しい内閣と共に、フランス国民のためにたゆまず行動し続けよう」とメッセージを送った。
ボルヌ新首相はエコール・ポリテクニーク(理工科学校)出身の技官で、リオネル・ジョスパン左派内閣で首相官房の運輸担当顧問、フランソワ・オランド左派政権でセゴレーヌ・ロワイヤル環境相の官房長を務めた後、パリ交通公団(RATP)のCEO(最高経営責任者)に就任し、2017年に誕生したマクロン政権下では環境連帯移行相付運輸担当相(2017年5月~2019年7月)、環境連帯移行相(2019年7月~2020年7月)、労働・雇用・社会復帰相(2020年7月~2022年5月)を歴任した。
運輸担当相としてフランス国鉄(SNCF)の制度改正法の成立に貢献し、労働・雇用・社会復帰相としては失業保険制度の改正を指揮するとともに、新型コロナ危機への対応として一時帰休制度の拡充や長期一時帰休制度の導入を実施した。また、見習い実習制度や職業訓練の強化など若年層の雇用対策に取り組んだ。
ボルヌ首相は同日行われた首相交代のあいさつで、カステックス前首相と「公共政策は対話の上に構築されるべきだとの信念を共有する」と述べ、議員や労使代表、関係団体などとの対話路線を継続し、地方の声を取り入れつつ、気候変動対策や環境問題などへの対応をより迅速かつ強力に進めていく意向を示した。マクロン大統領は就任2期目の最優先課題に気候変動対策を掲げ、4月16日付ウエスト・フランスによれば、同対策を指揮する権限を首相に直接付与する方針を明らかにしていた。
新内閣人事は近く発表される予定。
(山崎あき)
(フランス)
ビジネス短信 650466faa7e09ae1