英国とカタール、100億ポンド規模の投資パートナーシップ締結

(英国、カタール、ウクライナ、ロシア)

ロンドン発

2022年05月30日

英国のボリス・ジョンソン首相は5月24日、カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長とロンドンで会談した。フィンテック、ゼロエミッション車、ライフサイエンス、サイバーセキュリティなど、英国経済の主要分野にカタールが今後5年間で最大100億ポンド(約1兆6,000億円、1ポンド=約160円)を投資するという「戦略的投資パートナーシップ(SIP)」に署名した。

両者は会談で地政学的な問題についても議論、ロシアによるウクライナ侵攻を非難することで一致、人道的支援を通じたウクライナへの支援へのコミットメントを再確認した。さらに、中東地域の安定、安全保障、成長において、カタールの外交が果たす役割を認めたほか、イランを含む同地域での対話イニシアチブへの支持を表した。

両者は、貿易・投資、エネルギー、防衛に関する共同コミュニケ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表。SIPの署名を歓迎したほか、英国と湾岸協力会議(GCC)加盟国(アラブ首長国連邦、サウジアラビア、オマーン、バーレーン、カタール、クウェート)との2022年内の自由貿易協定(FTA)交渉開始への期待を示した。また、英国ロールスロイスとカタール財団が2021年11月に発表した、両国でのクライメットテックのイノベーションセンターの創設に向けたパートナーシップも歓迎した。ロールスロイスは同年12月にも、カタール投資庁(QIA)との間で、QIAが小型モジュール炉関連子会社ロールスロイスSMRに8,500万ポンドを投資することで合意したと発表していた。

エネルギー安全保障に向けて協力することにも合意

英国のクワシ・クワルテング・ビジネス・エネルギー・産業戦略(BEIS)相とカタールのサード・シェリダ・アル・カアビー・エネルギー担当相は同日、エネルギー安全保障、再生可能エネルギー、脱炭素化におけるBEISとカタールの国営石油会社カタール・エナジーの協力強化に関する覚書(MOU)を締結した。MOUを通じ、国際的なエネルギー供給の安定性を支援するため、今後も両国間のイノベーションと協力を促進する。

国際通商省によると、2021年のカタールから英国への輸入は前年比23.8%増の22億ポンドと大幅に伸長した(国際通商省の5月18日付発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。その大半をガスが占めており、カタールは英国の消費する液化天然ガスの40%を供給する国となっている。

(オステンドルフ・七海・ありさ)

(英国、カタール、ウクライナ、ロシア)

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