バイデン米大統領、ASEANとの特別サミット開催、海洋問題などの協力に1億5,000万ドル超の資金拠出
(米国、ASEAN)
ニューヨーク発
2022年05月17日
米国のバイデン政権は5月12日、米国・ASEAN特別サミット開催に合わせて、海洋問題や気候変動対策でのASEAN諸国との協力のために1億5,000万ドル超の資金拠出を行うと発表した。
米国・ASEAN特別サミットは、ジョー・バイデン大統領が呼びかけたもので、ASEAN首脳をホワイトハウスに招いての開催は初となる。サミットの目的は、米国による東南アジアへの揺るぎないコミットメントを再確認するとともに、安全保障、繁栄、人権尊重を確かなものとするためには、米国・ASEAN間の協力が重要であると強調することにある。ホワイトハウスのファクトシートによると、双方は補完し合う米国のインド太平洋戦略(バイデン米政権、ブラック ジャック)とASEANのインド太平洋構想(AOIP、第34回ASEAN首脳会議が閉幕、トランプ)に基づいて、新たな時代のパートナーシップを立ち上げるとしている。今回の1億5,000万ドル超の資金拠出はその実現に寄与するもので、この資金を基に、数十億ドルの民間資金を呼び込むことを期待している。
最大の資金拠出先は、海洋問題での協力(6,000万ドル)。米国の沿岸警備隊がインド太平洋地域のパートナー国からの訓練やキャパシティービルディングを受け入れ、違法漁業や漁業における強制労働問題に関して、ASEANに協力する。次いで、東南アジアにおけるクリーンエネルギー関連のインフラ整備への拠出額が大きく、4,000万ドルを投じて、20億ドルの資金を呼び込む。また、ASEAN地域のデジタル分野の発展にも600万ドルを拠出し、「ASEANデジタル統合フレームワークに関する行動計画」に沿って、イノベーションの促進やデジタル経済のルールづくりなどを支援する。このほか、気候変動関連について拠出額は明示されていないが、森林伐採問題への対応、ASEAN諸国がパリ協定に基づく排出削減目標(NDC)を達成するための技術支援プログラム「米・ASEAN気候解決ハブ」の創設などを掲げている。海洋問題と気候変動対策以外では、金額は小規模ながら、教育分野や公衆衛生分野での協力を推し進めるとしている。
今回の特別サミットには、バイデン大統領のほか、リム・ジョク・ホイASEAN事務総長、ファム・ミン・チン首相(ベトナム)、プラユット・チャンオーチャー首相(タイ)、フン・セン首相(カンボジア)、ハナサル・ボルキア国王(ブルネイ)、ジョコ・ウィドド大統領(インドネシア)、リー・シェンロン首相(シンガポール)、パンカム・ビパワン首相(ラオス)、イスマイル・サブリ首相(マレーシア)、テオドロ・ロクシン外相(フィリピン)が出席したが、ミャンマーからの代表者はいなかった。
(磯部真一)
(米国、ASEAN)
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