第2回新型コロナサミット開催、バイデン米大統領は議会に追加予算を再要請

(米国、世界)

ニューヨーク発

2022年05月16日

米国のバイデン政権は5月12日、G7議長国のドイツやG20議長国のインドネシアなどと共同で、第2回となる世界新型コロナウイルスサミットをオンラインで開催外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ジョー・バイデン米大統領はサミットの開会に寄せたビデオ演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「パンデミックは終わっていない」と述べ、今回のサミットが、新型コロナウイルス感染の対応と将来の健康危機を防ぐための取り組みを一段と強化する機会になると強調した。また、米国がこれまで115カ国に5億回分以上のワクチンを提供したことなどに触れ、他国の指導者にさらなる取り組みを促した。バイデン大統領は2021年9月に開催された第1回サミットで、5億回分のワクチンの追加供給を約束していた(2021年9月24日記事参照)。

今回のサミットを主催した米国、ベリーズ、ドイツ、インドネシア、セネガルが発表した共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、サミット参加国や企業が新たに約束した新型コロナウイルス対応支援額は計32億ドルに達した(注1)。これには、今夏に世界銀行に設立される予定の「世界健康安全保障基金」への約7億ドルの追加出資も含まれる。同基金は新たなパンデミックへの対策などを目的とする。

米国は今回のサミットで、世界健康安全保障基金への2億ドルの追加出資や、米政府が保有する新型コロナワクチン関連の知的財産の他国との共有などを約束外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。知的財産の共有については、米国立衛生研究所(NIH)が世界保健機関(WHO)の「COVID-19テクノロジー・アクセス・プール(C-TAP)」(注2)を通じて、医薬品特許プール(MPP、注3)にライセンスを供与する。

米国はそのほか、世界エイズ・結核・マラリア対策基金などと共に中低所得国向けの検査キットや治療薬の調達の促進に追加資金を拠出するとしているが、これは連邦議会からの予算の手当てが前提となっている。バイデン政権は3月に議会に対し、国際的な支援に充てる約50億ドルを含め、新型コロナウイルスへの対応として225億ドルの追加予算を求めた。しかし、議会は追加予算をいまだ可決できておらず、バイデン大統領やカマラ・ハリス副大統領はサミットの演説で議会に迅速な行動をあらためて要請した。

(注1)各国・地域政府や企業などが表明したコミットメントの詳細は、ホワイトハウスの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注2)新型コロナウイルス対策関連製品の公平な供給などを目的に、治療薬やワクチンの製品開発者が自発的に知的財産やデータなどを共有する枠組み。

(注3)国連が支援する公衆衛生団体で、低・中所得国における医薬品へのアクセス向上のため、各種医薬品(抗HIV薬、結核治療薬など)について、特許権保有者と契約を結ぶことにより、医薬品のライセンスや知的財産をプールし、後発医薬品の製造・開発を支援している。

(甲斐野裕之)

(米国、世界)

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