カザフスタン、トルコと戦略的パートナーシップ強化へ
(カザフスタン、トルコ)
タシケント発
2022年05月19日
カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は5月10日、公式訪問先のトルコの首都アンカラでレジェップ・タイップ・エルドアン大統領と会談した。2国間の拡大戦略的パートナーシップに関する共同声明に署名した(大統領府ウェブサイト5月10日)。
主要閣僚が同行した今回のトルコ公式訪問では、政治、経済、軍事、文化、教育など多方面にわたる協力関係について協議され、前述の共同声明も含め15の覚書、協定文書が政府間で締結された。
注目されるのは、軍事協力と物流に関する協力関係だ。カザフスタンでは、ロシアのウクライナ侵攻を機に国内の軍事力強化と物流の再構築が急がれている。軍事協力分野では、トルコ製軍事無人航空機(UAV)のカザフスタン国内での合弁生産が決まったと発表された(産業・インフラ発展省ウェブサイト5月11日)。物流では、ロシア領内を通らないカスピ海横断国際輸送路(TCITR)(アゼルバイジャン、国際トランジットブラック)を経由した、国際複合一貫輸送の強化が図られる見込み(産業・インフラ発展省ウェブサイト5月11日)。
今回の訪問では、食糧安全保障を意識した農業分野での2国間の協力関係についても協議され、カザフスタン側は同国での農業一次、二次産品生産の投資、技術協力についてトルコ側にアピールしている(農業省ウェブサイト5月11日)。
一方、石油・ガス、小麦、食用油など戦略物資の多くをロシア、ウクライナに依存するトルコにとって、カザフスタンは代替調達先の1つ。また、ロシアを経由する欧州方面の陸上貨物輸送にも支障が生じているため、問題の長期化をにらみ、カザフスタン政府は代替ルートの能力強化を急いでいる。
トカエフ大統領は会談の中で、トルコを「歴史的につながりが深い兄弟国で、ユーラシア大陸で最も重要で信頼できるパートナー」と述べ、両国間の相互貿易額を年間50億ドル(2021年実績)から100億ドルまで増やすことが目標とした(大統領府ウェブサイト5月10日)。
(増島繁延)
(カザフスタン、トルコ)
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