連邦政府、浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備をチャーター契約、年内稼働を目指す
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
デュッセルドルフ発
2022年05月17日
ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)は5月5日、液化天然ガス(LNG)の輸入、再ガス化にあたり必要となる浮体式LNG貯蔵・再ガス化設備(FSRU、注)4隻のチャーター契約を締結したと発表した。
ドイツ国内の年間の天然ガス需要は950億立方メートルに上るが、現在、液化天然ガス(LNG)を再ガス化するためのLNGターミナルを保有していない。FSRUは、LNGタンカーからLNGを取り込み、船上で再ガス化し、既存のパイプラインと接続することでガスの供給が可能となる。FSRUが配置される場所の1つとしては、ドイツ北部ニーダーザクセン州ウィルヘルムスハーフェン市だ。北海に面するニーダーザクセン州は港湾施設やガスの貯蔵施設・パイプラインなどのガスインフラが整備されている。ウィルヘルスムハーフェン市では既存の港湾施設にFSRUを配置し、長距離の天然ガスのパイプライン網と接続される予定。
連邦政府はFSRUの設置を、当初予定していた3隻から4隻に増やした。ノルウェーのFSRU大手ホーグLNGおよびギリシャのLNG輸送会社ダイナガスから船を2隻ずつチャーターし、船の運営は、政府から業務委託されるドイツエネルギー大手RWEとユニパーが担当する。
RWEが担当するホーグLNGからチャーターする1隻目のFSRUは、2022年末ごろに稼働する予定。2隻目は、北部シュレスビヒ・ホルシュタイン州ブルンスビュッテル市で2023年初めに稼働する予定。2隻合わせて、年間100億~140億立方メートルの天然ガスをドイツ国内に供給できる。
ユニパーが担当するダイナガスからチャーターするFSRU2隻は、配置場所は未定だが、2023年初頭に稼働する予定。2隻とも年間最大75億立方メートルの天然ガスの供給能力を持つ。
なお、ドイツ国内ではFSRUとは別に、LNGターミナルの建設プロジェクトも進んでいる(ドイツ国内初のLNGターミナル建設覚書を発表、無料、関連ブラック ジャック web参照)。ユニパーは2022年5月5日、計画していたウィルヘルムスハーフェン市におけるLNG輸入ターミナルの建設を開始したと発表した。
(注)Floating Storage and Regasification Unitの略。陸上にLNG基地をつくらず、貯蔵・再ガス化設備を加えた専用船を洋上に係留する。
(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
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