ドイツの4月の生産者物価指数、前年同月比で過去最高の33.5%上昇
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
ベルリン発
2022年05月30日
ロシアによるウクライナ軍事侵攻の影響によって天然ガス価格が高騰しており、ドイツの生産者物価指数が上昇している。
ドイツ連邦統計局は5月20日、4月の生産者物価指数(PPI)の上昇率が前年同月比33.5%だったと発表した。前年同月比の上げ幅は1949年の統計開始以降で最大となった。前月比では2.8%の上昇だった。
PPIを全体で大きく押し上げた最大の要因はエネルギー価格で、前年同月比87.3%上昇した。特にロシアからの輸入依存度が高い天然ガス価格が高騰し、2.5倍と大きな上げ幅を記録。発電事業者向け天然ガス価格は前年同月比で4.1倍に達した。産業向けでは3.6倍、再販事業者向けは2.7倍だった。
電力価格は前年同月比87.7%上昇し、再販売業者向けは2.6倍、特別契約顧客(注)向けは85.6%上昇した。また、石油製品は53.9%上昇した一方で、前月比では4.6%下落した。灯油は前年同月比2.0倍、自動車燃料は46.6%上昇した。
エネルギーを除いた上昇率は前年同月比で16.3%、前月比で3.0%だった。
次いで上げ幅が大きかったのは中間財で、前年同月比26.0%だった。中間財の上げ幅に影響を与えたのは金属の43.3%で、鉄筋が79.0%、銑鉄・鉄鋼・鉄合金が59.8%、未加工アルミニウムが58.5%だった。金属以外では、肥料・窒素化合物が2.1倍と大幅な上昇を記録した。さらに、木製梱包材は75.0%、産業用ガスは66.4%、家畜用飼料は52.8%、製材は52.3%、段ボールは41.0%、穀物粉は39.1%上昇した。
非耐久消費財は前年同月比13.2%上昇した。食品は17.3%で、特にバターの値上げ幅が大きく70.9%、非加工の植物油は70.0%と高騰した。
資本財は前年同月比6.7%上昇し、1975年10月に記録した6.8%を上回る過去最高値となった。資本財の上昇の最大の要因として、機械が7.6%、次いで自動車・自動車部品の4.9%の価格上昇が挙げられた。
(注)PPA(Power Purchase Agreement)とよばれる電力購入契約で、発電事業者と顧客の間で交わされる長期相対契約。
(中村容子)
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
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