米国2022年度の財政赤字GDP比3.9%、前年の12.4%から大幅改善

(米国)

ニューヨーク発

2022年05月30日

米国議会予算局(CBO)は5月25日、中長期の経済財政見通しを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、2022会計年度(2021年10月~2022年9月)の財政赤字は9,681億ドル、GDP比3.9%(注)になるとの見通しを示した(添付資料図1参照)。新型コロナウイルス感染対策などの支出が大幅に縮小することに加え、経済再開による税収増を背景に、2021年度の2兆7,753億ドル、GDP比12.4%の赤字から大幅に縮小する。

見通しは、2022年度から2032年度までの予算収支、債務残高を試算。2022年度の支出総額は5兆8,041億ドルで2021年度6兆8,224ドルから約1兆ドルの縮小を見込む。収入は4兆8,360億ドルで、2021年度の4兆471億ドルからおよそ8,000億ドル増となっており、2000年度以降では最も大きくなると予想する。増収の大半は所得・給与税の増加(およそ6,000億ドル増)が占めるとしている。2022年度の債務残高については24兆1,726億ドル、GDP比97.9%と試算し、こちらも2021年度のGDP比99.6%から改善すると試算している(添付資料図2参照)。

足元では改善を見込む財政状況であるが、今後は積み上がった債務残高と連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め姿勢による金利上昇によって、利払い費が中長期的に増加することを主因として、財政状況は徐々に悪化。最終年度の2032年度の財政赤字はGDP比6.1%、債務残高は109.6%に達するとCBOは試算している。

また、経済前提に関して、実質成長率は2022年度4.4%、2023年度3.0%を見込み、それ以降は平均1.7%程度の成長で推移する。消費者物価については2022年度6.6%、2023年度3.6%、その後は平均2.4%で推移。長期金利については2022年度2.1%、2023年度2.8%。その後も徐々に上昇し2028年度に3.8%に達したて以降は一定に置いている。

なお、今回の見通しには、5月19日に成立したウクライナ支援法(関連ブラック ジャック トランプ)による総額400億ドル規模の支出による影響が反映されていないため、財政赤字はさらに上振れする可能性がある。

(注)特定の支払時期が(曜日配列の影響により)ずれてしまう影響を調整した値。以降の財政赤字およびGDP比はこのベースに基づいて算出された値となっている。

(宮野慶太)

(米国)

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