米ネットフリックス、ポーランドに中・東欧のハブとなる拠点設立へ
(ポーランド、米国)
ワルシャワ発
2022年04月06日
米国のネットフリックスは3月29日、2022年後半に中・東欧地域のハブとして機能するオフィスをワルシャワに開設することを発表した。同社が中・東欧に拠点を設立するのは初めて。
ネットフリックスが中・東欧で事業を展開し始めたのは7年前だ。2016年にはポーランド向けにサービスをカスタマイズし、その後すぐにルーマニア語、チェコ語、ハンガリー語、クロアチア語、ウクライナ語でも利用できるようになった。この間、同社は地元のクリエーティブコミュニティーと協力し、中・東欧の会員が地元の作品を深く愛していることから、そのニーズに対応するためにローカル映画やシリーズ作品の枠を広げてきた。ポーランドだけでも、ネットフリックスのオリジナル映画やシリーズ作品に4億9,000万ズロチ(約142億1,000万円、1ズロチ=約29円)以上を投資。2,600人以上の雇用を創出し、俳優や脚本家、監督、全ての作品のバックボーンとなる制作会社のスタッフに機会を与えてきたとしている。また、中・東欧は同社の国際的な番組にとって戦略的な制作拠点となっており、最近では「タイラー・レイク-命の奪還-」の続編や「暗黒と神秘の骨」といった世界的に人気のあるシリーズ作品の撮影を同地域で成功裏に行っている。
ネットフリックスはほかにもポーランドで、2020年4月から視聴覚プロデューサー商工会議所(KIPA)との多角的な協力を開始した。新型コロナウイルスのパンデミックによる製作の停止に関連して、テレビや映画業界の最も影響を受けた従業員のための新しい支援基金を設立し、250万ズロチを割り当てたほか、専門家による能力開発クラスを共同で開講してきた。2022年1月にはウッチにある映画の専門学校との長期的な協力を開始し、若い才能を発見し、テレビや映画業界でのキャリアの開始を促進する実践的な専門能力を開発できるワークショップを開講することを発表している。
同社は、ワルシャワにオフィスを今回構えることは自然な次のステップとし、中・東欧との長期的な協力関係を構築するとともに、既存の関係を深め、コンテンツクリエーターやプロデューサーに新たな機会を創出することにつながるだろうとコメント。また、地元産業の創造性と可能性を秘めたワルシャワは、中・東欧全域のビジネスの拠点として最適な場所としている。
ネットフリックスの競合他社である米ディズニープラス(Disney+)も3月29日、ポーランドへのサービスの提供を6月14日に開始すると発表。同国では米アマゾンも2021年10月からアマゾン・プライムサービスを開始しており、プライムビデオの利用が可能となっている(米アマゾンがプライムサービス導入、オンライン)。
(今西遼香)
(ポーランド、米国)
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