制限緩和でほぼ新型コロナ前の状況へ、4月26日から集会や出社人数の上限撤廃
(シンガポール)
シンガポール発
2022年04月26日
新型コロナウイルスのシンガポール政府タスクフォースは4月22日、同月26日から集会の参加人数や職場の出社人数の上限を撤廃するなど、感染対策の大幅緩和を発表した。リー・シェンロン首相は同月23日、自身のフェイスブックで、この緩和により「新型コロナウイルス流行前の状況にほぼ戻る」と指摘。その上で、室内でのマスク着用や体調不良時には自主隔離するなど、引き続き責任ある行動を呼び掛けた。
政府タスクフォースの発表によると、国内での感染状況の沈静化を受けて4月26日から、集会人数をこれまで10人とした上限を撤廃。また、出社上限についても、在宅勤務可能な従業員の75%までとしていた制限を撤廃する。さらに、ショッピングモールなど大半の施設(注1)において、追跡アプリ「トレーストゥゲザー」を用いたチェックインが必要なくなる。飲食店についても、入店時にトレーストゥゲザーを用いたワクチン接種の有無の確認の必要がなくなる。ただし、飲食客のワクチン接種の有無を確認するために、無作為で立ち入り検査が行われるとしている。このほか、政府タスクフォースは4月26日から、1,000人以上の大型イベントに対して、これまで施設収容能力の75%としていた開催上限も撤廃する。ただし、入店客がダンスをする一部のナイトライフ事業者については引き続き、施設収容能力の75%を上限とする(注2)。
一方、政府タスクフォースは、室内や公共交通機関の中でのマスク着用を引き続き義務付ける。また、屋外については、マスク着用を引き続き、任意とする。
4回目のワクチン接種の対象を60歳以上に拡大へ
政府タスクフォースの発表(4月22日)によると、新型コロナウイルスの国内の新規感染者はピーク時の1日当たり約1万8,300人から、過去1週間で1日当たり平均3,100人以下にまで減少した。入院者数もピーク時の1,726人から、266人へと減少している。
保健省によると、3回目のワクチン接種率は73%(4月22日時点)。同省は3月24日、80歳以上の高齢者、介護施設の入所者、および免疫機能が著しく衰えた人で、3回目のワクチン接種から5カ月を経た人について4回目のワクチン接種の開始を発表した。さらに同省は4月22日の発表で、60~79歳の高齢者についても、希望をすれば4回目の接種を行う方針を示した。
(注1)500人以上が参加する大型イベントや一部のナイトライフ事業者は引き続き、トレーストゥゲザーを用いたチェックインが必要。
(注2)4月26日からの具体的な感染対策の緩和については保健省の4月22日付発表を参照。
(本田智津絵)
(シンガポール)
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