政府はイラン暦新年から、生産性の向上、知識ベース経済への転換、雇用創出に注力
(イラン)
テヘラン発
2022年04月19日
イランのアリー・ハーメネイー最高指導者はイラン暦の元日にあたる2022年3月21日、新年となる1401年(2022年3月21日~2023年3月20日)のスローガンを「生産性の向上、知識ベース経済への転換、雇用創出」と発表した。
ハーメネイー最高指導者は、国民に向けた新年の祝辞の中で、過去3~4年間のスローガンでも、生産性の向上を通じた経済発展の必要性について触れてきたことを強調した。その上で、国の経済成長と経済問題の改革のためには、高度な知識と技術を生産に活用する「知識ベース経済」への移行が重要と述べた。また、現在国内に7,000弱ある知識ベースの企業の数を1401年中に倍増させ、30万人の雇用を60万人に増やすべきとした(2022年3月21日付最高指導者オフィス)。
ハーメネイー最高指導者の発言を受け、政府関係者も相次いで「知識ベース経済」への移行について発言、政府として同分野に注力するとした。
スレナ・サッターリー科学技術担当副大統領は3月21日のインタビューで、「知識ベース型の生産の最大の特徴は、社会課題に応じた生産の現地化と、石油依存型経済からの脱却だ」と述べた。国内には高等教育を受けた人口約1,500万人がいるとし、「彼らの雇用問題の解決のためにも、石油中心型経済からの脱却のためにも、高い付加価値で経済を活性化させる知識ベース型の生産が必要」と強調した(2022年3月21日付最高指導者オフィス)。
セイエド・レザー・ファーテミー・アミーン産業・鉱業・貿易相は3月29日、「高付加価値製品の生産と知識ベース型の製品輸出は、今年のスローガンを果たすための2つの基本的なアプローチだ」と述べた。また、生産分野における研究・開発の割合が1%未満であることから、その割合を増やすための計画と監視が必要とした。「工業生産の質を高め、高学歴者の雇用確保にもつながる知識ベース経済への転換は、間違いなく国の転換点になるだろう」とも述べた〔3月29日付イスラーム共和国通信(IRNA)〕。
現地通信社IMNA(3月24日付)によると、エフサーン・ハーンドージー経済財務相は「知識ベースの製造業を強化・支援するために、同省は専門家や若者の能力を活用することに重点を置く」と述べた。また、設備・機器やインフラの供給に関する契約を国内の知識ベース企業と締結することで、その経済的利益を国内で活用できるようにするとした。
(鈴木隆之、マティン・バリネジャド)
(イラン)
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