米GM、EV電池用コバルトをオーストラリアから調達へ
(米国、オーストラリア)
ニューヨーク発
2022年04月21日
米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)は4月12日、スイスに本社を置く鉱山開発企業グレンコアとの間で、電気自動車(EV)用バッテリーの材料となるコバルトの複数年にわたる調達契約を締結したと発表した。EV需要の高まりを受けて、安定的なバッテリー生産体制の構築に取り組む。
今回の契約で、GMは複数年にわたり、オーストラリア西部の都市レオノーラにあるマリンマリン鉱山から採掘されるコバルトの供給を受け、自社で開発するアルティウムバッテリーに利用する。同バッテリーは、EVの主軸ラインアップであるシボレーのピックアップトラック「シルバラード」、GMC「ハマー」、キャデラックのスポーツ用多目的車(SUV)「リリック」などに搭載する計画だ。
コバルトはレアメタル(希少金属)の1つで、EV用リチウムイオンバッテリーのカソード(正極)材として利用され、バッテリーの発火を防ぐなど重要な役割を担う。世界のコバルト埋蔵量の約5割、生産量の約7割はコンゴ民主共和国が占めているが(添付資料表参照)、その不安定な政情などから、調達先を見直す動きが広まっている。GMのグローバル購買とサプライチェーン部門バイスプレジデントのジェフ・モリソン氏は「GMとそのサプライヤーは、安全で持続可能な方法で重要な原材料を調達することに焦点を当てたEVエコシステムを構築している」「この合意は、責任ある調達とサプライチェーン管理への当社のアプローチに合致するものだ」と述べている。
世界的なEV普及に伴い、コバルト以外のバッテリー原材料の確保も喫緊の課題だ。GMは韓国の化学素材メーカーのポスコケミカルと、カナダのケベック州で正極材の生産に向けた合弁事業を行うほか、国内でもカリフォルニア州のコントロールド・サーマルリソースや、テキサス州のMPマテリアルズと提携し、それぞれリチウムと合金フレークの生産を進めている。また、フォードも4月11日、オーストラリアのリチウム採掘企業レイクリソースとの間で、アルゼンチンの鉱山から採取されるリチウムを購入する予備契約に署名するなどしており、各メーカーの今後の動向が注目される。
(大原典子)
(米国、オーストラリア)
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