中国欧盟商会、新型コロナ感染拡大によるサプライチェーンへの影響懸念、防疫対策の見直し求める

(中国)

上海発

2022年04月18日

中国欧盟商会(注)は4月8日、中国国務院の胡春華副首相に対し、現在の新型コロナウイルス感染症の防疫措置によるビジネスへの影響に関する要望書を送付した。要望書では、中国政府が感染拡大を限定的に抑え込んでいることや、政府が実施している動態ゼロコロナ政策にも理解を示した。一方で、ドイツ商会が実施した在中国ドイツ企業への影響に関するアンケート結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを引用し、中国での物流から生産に至るサプライチェーン全体にわたって大きな混乱を引き起こしていると指摘した。

そのほか、中国政府のこれまでの新型コロナ対応について、2020年(デルタ株などの流行)時にゼロコロナを目指し、感染拡大の早期抑制を実現させたと評価した。その一方、現在のオミクロン株の流行は全市民検査や感染者の隔離で乗り越えることは難しく、社会的・経済的コストの著しい増大を引き起こすとともに、外国人投資家の中国市場に対する信用を失わせると指摘した。その上で、現在の防疫措置の見直しと、シンガポールで採用されている全市民の保護と経済成長を両立させる以下の措置を採用するよう求めた。

  • 無症状感染者もしくは軽症感染者の自宅隔離を許可し、公共医療システムの負担を減らす。
  • ウイルスに対して弱い60歳以上を含めた市民のコロナワクチン接種完了に注力する。
  • 予防接種とブースター接種のベストミックスを可能にする。また、世界的に最も有効性が高いと認められているmRNAワクチンを国内の患者がブースター接種として利用できるようにする。

これに先立つ4月1日、中国欧盟商会のヨルグ・ウケッテ会長は中国メディアの取材に対し、同商会の会員企業にとって2021年はビジネス上非常に成功した1年となり、2022年も希望に満ちた1年として捉えてきたコメントしつつ、オミクロン株の感染拡大により、サプライチェーンがどの程度影響を受けるか予測できないとの懸念を示した(「北京日報」2022年4月5日)。

(注)中国欧盟商会は、中国に進出した欧州企業(会員企業数:約1,800社)で構成し、商工会議所に相当する。

(龐婷婷)

(中国)

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