上海の都市封鎖、3区分管理へ移行も経済活動正常化には時間要する見込み
(中国)
上海発
2022年04月14日
上海市政府は新型コロナウイルス対策として3月28日から、黄浦江を挟んで市内を東部(浦東、浦南地区および周辺地域)と西部(浦西地区)に分け、2段階で封鎖の上、PCR検査と抗原検査を実施した(2022年4月1日記事参照)。東部、西部とも封鎖管理の終了予定時期には封鎖解除とはならず、4月9日に同市政府は追加的な市内全域のPCR検査を実施し、感染者の発生状況などによって市内を「封控区」「管控区」「防范区」の3つに分けて管理を行うと発表した(区分けの詳細は添付資料表参照)。11日に市政府はこの2日間で2,152万人の検査を完了し、このうち検査異常所見は2万5,996例で現在、一部陽性者の再検査を行っている。市政府は12日、区分けした小区(マンション群、団地単位)の数と当該小区に居住する住民数を発表した(下記は4月12日午前時点、各行政区の第1回発表に基づく、第2回以降の発表は引き続き行われる)。
- 「封控区」:1万1,135カ所、1,501万人
- 「管控区」:2,682カ所、178万人
- 「防范区」:1万323カ所、480万人
最も管理度合いが緩和されている「防范区」対象の小区数が多いが、人数は少ない。これは「防范区」となった小区の90%が郊外で、市の中心部は10%程度のためだ。480万人のうち430万人は郊外の住民で、市の中心部の住民は50万人となっている。また「防范区」でも1週間に2回の抗原検査を実施し、警察官、配達員、都市サービス人員に対しては抗原検査とPCR検査を実施するとした。さらに「防范区」となっている一部の小区では、小区から外に出られない状態にあるが、これは「防范区」で感染者が発生した場合には、管理の最も厳しい「封控区」になるため、近隣に多くの「封控区」があり、感染のリスクが高い「防范区」では、各行政区が状況に応じて管理を強化しているためと説明した。
このように、上海市の封鎖管理は小区ごとの3つに分けた管理に移行したが、「防范区」の住民でも活動範囲は小区が属する街道や鎮に限定される。1日当たりの感染者数(無症状を含む)が2万人を超える現状では、行政区を越えた人の往来や人の集まる活動など、市民生活や経済活動が正常化するにはまだ時間を要すると思われる。
(高橋大輔)
(中国)
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