BYDがガソリン車の生産を停止、カーボンニュートラルに向け新エネ車に集中

(中国)

上海発

2022年04月12日

中国の新エネルギー自動車大手の比亜迪(BYD)は4月3日、ガソリン車の生産を停止すると発表した。比亜迪は、2022年3月からガソリン車の生産を停止しており、今後は純電動車とプラグインハイブリッド車の生産に専念するとしている。比亜迪は新エネ車メーカーという印象があるが、2020年まではガソリン車の年間販売台数が新エネルギー車を上回っており、2021年にそれが逆転した(添付資料表1参照)。なお、2021年の生産台数をみると、新エネ車が60万7,119万台、ガソリン車が14万421台だった(添付資料表2参照)。

比亜迪は2021年11月、英国グラスゴーで開催された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に参加し、各国政府、企業などと3つの共同声明に署名した(2021年11月12日記事参照)。これらの共同声明は、ゼロエミッション自動車やそれを支えるインフラの導入加速を目指すものだ。そのうちの1つでは、世界全体で2040年に、主要な自動車市場で遅くとも2035年までには、新車の乗用車と商用バンについてゼロエミッションを実現することを強く求めている。この壮大な目標を実現するために、比亜迪のような民間企業に対しても事業戦略の調整を求めており、今回の同社発表は、これに応えたものという見方もできる。

また、比亜迪が純電動車のメーカーとなることで、政府や消費者に対して良い印象を与える側面も指摘されている(「EV車生活」2022年4月7日)。さらに、ガソリン車の生産停止を選択することで、その精力と資本を新エネルギーの研究開発に投入することができ、電池で起業したBYDにとって、ある意味、本業回帰だという見方もある(同)。

(高橋大輔)

(中国)

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