カナダ保健省、アストラゼネカ製新型コロナ予防薬「エブシェルド」を免疫不全患者向けに承認
(カナダ)
トロント発
2022年04月15日
カナダ保健省は4月14日、新型コロナウイルスの予防薬としてアストラゼネカ製のエブシェルド(チキサゲビマブおよびシルガビマブ)を承認したと発表した。
ワクチンとは別の「投与薬」である本剤の対象者は、投与希望時点で新型コロナウイルスに感染しておらず、感染者と最近接触のない成人および青少年(12歳以上、体重40キロ以上)で、(1)免疫力が低下しており、新型コロナワクチン接種に対して十分な免疫反応が得られない人、もしくは(2)同ワクチンの接種が推奨されない人、となる。
エブシェルドについては、米国では既に2021年12月8日付で食品医薬品局(FDA)が緊急使用を承認しているほか、欧州でも欧州医薬品庁が3月下旬に使用の推奨を開始した。
アストラゼネカのカナダ法人は2月、2022年に投与10万回分のエブシェルドを供給する契約を連邦政府と締結したことを公表しており、供給の条件となっているカナダ保健省の承認が待たれていた。
カナダ保健省によれば、エブシェルドはカナダで現在主流となっているオミクロン亜種「BA.2」に対する中和活性を保持することが実験データから明らかになっているものの、新型コロナ治療薬としては認可されておらず、また、感染予防薬としても認可されていない。同省では、エブシェルドを含め、いずれの薬剤もワクチン接種に代わるものではなく、ワクチンが感染時の重篤化を防ぐ最も重要な手段であることに変わりはないとして、対象となる全ての国民に最新の接種体制に基づいたワクチン接種を強く推奨している。
(飯田洋子)
(カナダ)
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