欧州委、新型コロナ対策の緊急体制終了を示唆も、協調策を加盟国に引き続き要請

(EU)

ブリュッセル発

2022年04月28日

欧州委員会は4月27日、新型コロナウイルス感染拡大(パンデミック)の新たな局面に向けた協調的な対策をEU加盟国に求める新たな政策文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。EU域内では、新規感染者数は一部で高止まりしているものの、感染増加は重症化や死亡の増加につながっておらず、医療体制への圧迫は緩和されていることから、経済活動の再開も本格化している。こうした中で、加盟国は別々のアプローチに基づく新型コロナウイルス感染対策の実施がみられることから、欧州委は、秋以降に向けた加盟国間の協調的な対応が引き続き重要として、その具体的な方向性を示している。加盟国に対する主な要請は以下のとおり。

  • 新型コロナワクチンの未接種者に対する初回接種を引き続き実施。また、3回目や一部の対象者(関連ハイパーブラックジャック)に対しては4回目の接種を推進。さらに、秋以降に備えた新たな追加接種の戦略も準備。2023年からは新型コロナワクチン接種を通常のワクチン接種計画に組み込む。
  • 新型コロナウイルス感染症の緊急監視体制から、年間を通じた急性呼吸器疾患(新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザなど他の呼吸器系ウイルスを含む)の監視体制への切り替え。
  • 新たな感染拡大に備えて、検査と接触者追跡体制の迅速な設置を可能にする計画を策定。また、変異株の感染状況の把握や新たな変異株の探知のために、一定数の検査やシークエンス解析の継続的な実施。
  • 新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの流行に備えた医療体制の強化。
  • 最も効果的で社会的に受け入れられる公衆衛生措置を秋までに検証し、こうした措置の再導入に備えた緊急時対応計画を策定。また、重症化リスクのある人を守るため特定状況でのマスク着用に関する勧告を策定。
  • 新型コロナワクチンの接種証明書などに関するEU共通の枠組み「EUデジタルCOVID証明書」の提示など、旅行者に対する域内外の移動制限措置を、加盟国内の制限措置撤廃に合わせて、できる限り早期に撤廃。

欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「われわれは、新型コロナウイルスの緊急体制から、より持続可能な管理体制に移行しつつあり、パンデミックは新たな局面に入っている」とする一方で、世界的な感染拡大は終わっておらず、引き続き警戒しなければならないとして、加盟国間の協調的な対応が必要だと強調した。また、ティエリー・ブルトン委員(域内市場・産業・デジタル単一市場担当)は、域内のワクチン生産能力が年間30億~40億回分に達したとした上で、将来の公衆衛生危機に備えて、欧州委主導で(関連ブラック ジャック ディーラー)、こうした生産能力の一部を今後も維持していく方針だと述べた。

(吉沼啓介)

(EU)

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