ブリンケン米国務長官が中東・北アフリカを訪問、ウクライナやイラン情勢など協議
(中東、アフリカ、米国、イスラエル、ヨルダン川西岸地区、モロッコ、アルジェリア)
中東アフリカ課
2022年04月01日
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、ロシアのウクライナ軍事侵攻やイラン核合意再建をめぐる問題などを協議するため、3月26~30日に、中東・北アフリカ諸国・地域(イスラエル、ヨルダン川西岸地区、モロッコ、アルジェリア)を訪問した。
3月27日は最初の訪問国のイスラエルで、ナフタリ・ベネット首相やヤイル・ラピッド外相ほかと会談した。米国務省によると、国務長官はイスラエルのウクライナへの人道支援や、イスラエルの仲介者としての役割に謝意を示すとともに、イランの核開発抑止を両国の共通目的として確認したとしている。
また同日、ヨルダン川西岸地区のラマッラーで、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバース大統領と会談した。米国務省によれば、2021年のイスラエルとの軍事衝突以降に米国が行った人道支援や経済的支援に触れた上で、今後もパレスチナ市民の生活改善に協力するとした。
他方、27~28日には、イスラエル南部のネゲブ砂漠で、米国・イスラエルにアラブ諸国4カ国〔エジプト、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ〕の外相も交えた6カ国間の会合を開催した(「ネゲブ・サミット」と呼称)。会合では、イスラエルで相次いで発生していたテロを非難し()、パレスチナ支援の姿勢やイランに対する牽制を示すなど、6カ国間の地域安全保障の枠組強化で一致したが、同会合に対して、パレスチナ自治政府は「イスラエルの入植地拡大活動の隠蔽」、イランは「パレスチナへの裏切り」と述べるなど、強く非難した。
国務長官は28日に、サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン外相とも電話会談を行い、フーシ派の攻撃やイエメン情勢、イランの核開発問題などについて協議した。その後、モロッコへ移動し、ラバトでアジズ・アハニュッシュ首相などと会談、新型コロナウイルスや気候変動対策、2国間の経済・社会的協力などの幅広い内容について協議した。
ラバトでは29日に、UAEアブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子とも会談し、ウクライナ情勢に加えて、イエメンやシリア、アフガニスタン情勢なども含めた安全保障問題上の協力について話し合った。
30日にはアルジェリアに移動し、アルジェ国際見本市の発表イベントに出席するとともに、アブデルマジド・テブン大統領などと面会し、両国の経済協力の拡大やウクライナ情勢などについて協議した。
(米倉大輔)
(中東、アフリカ、米国、イスラエル、ヨルダン川西岸地区、モロッコ、アルジェリア)
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