サウジアラビアのスタートアップFOODICS、1億7,000万ドルを調達

(サウジアラビア、中東、アラブ首長国連邦)

リヤド発

2022年04月22日

サウジアラビアのスタートアップで、クラウド技術を使ったレストラン向けPOSシステムを手掛けるフーディクス(FOODICS)は4月20日、1億7,000万ドルの資金調達を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同社は今回の調達をシリーズC(注)に相当するものと位置付けている。

今回の資金調達をまとめた投資主体は、世界有数のテック分野の投資ファンドであるオランダ系のプロサス(Prosus)と、サウジアラビア政府系投資ファンドのPIFが保有する投資会社Sanabil Investmentsで、いずれも中東地域の有望スタートアップに対する積極的な投資で知られる。両社のほか、インド系のセコイア・キャピタル・インディア、これまでFOODICSへ投資資金を提供してきた地場系STV、米国系エンデバー・カタリストなども含まれる。プロサスのファフド・ベグ最高執行責任者(COO)は「レストランテックは著しい成長可能性を持つ投資機会」とし、既に中東地域で確固たる事業基盤を築いた投資先としてFOODICSの魅力を強調する。

FOODICSは2014年に東部州のアル・コバールで創業。レストラン、カフェ、ファストフード、パン屋、キッチンカーなどの飲食店を顧客としている。サウジアラビアのほか、アラブ首長国連邦(UAE)、エジプト、ヨルダンなど中東地域の飲食店へサービスを提供しており、顧客には地場大手カフェチェーンであるハーフ・ミリオンやJOLTなどに加えて、スターバックス、ダンキンドーナツなど外資系フランチャイズチェーンも含まれる。

今回の資金調達の狙いについて、同社は地域や国際展開の強化を目指すとしており、拡大手段の1つとしてM&A利用も示唆している。FOODICSのアフマッド・アルゼーニ最高経営責任者(CEO)は「現在、2万1,000軒に提供しているサービスを今後2年間で10万軒以上に増やしたい」としており(4月21日付「アラブ・ニュース」)、米国、アフリカ、南アジアへの事業拡大に意欲を示す。

同社はほかに、フィンテック、小規模融資、サプライチェーンマネジメントなどの分野で、飲食店経営者向けの新たな技術の開発にも資金を投じる意向だ。飲食店以外の小規模小売店舗へのサービスにも事業拡大を図るとしている。

(注)既に複数回の資金調達(シード、シリーズA、シリーズB)を通じて事業が軌道に乗ったスタートアップがさらなる成長を目指して行う資金調達。

(秋山士郎)

(サウジアラビア、中東、アラブ首長国連邦)

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