第1四半期の実質GDP成長率、前年同期比4.8%
(中国)
北京発
2022年04月19日
中国国家統計局の4月18日の発表によると、2022年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比4.8%となった(注1、添付資料図参照)。
投資、消費、工業生産とも、1~2月と比べて伸び減速
投資(固定資産投資)は前年同期比9.3%増(1~2月は12.2%増)、そのうち、民間投資は8.4%増(同11.4%増)、インフラ投資は8.5%増(同8.1%増)、不動産開発投資は0.7%増(同3.7%増)だった。消費(社会消費品小売総額)は3.3%増(1~2月は6.7%増)となった。3月単月の消費は前年同月比3.5%減とマイナスに転じ、特に飲食や宝飾品、衣類の販売が2桁減少した。第1四半期のインターネット上の実物商品小売額は前年同期比8.8%増で、消費全体の23.2%を占めた。
工業生産増加額(付加価値ベース)は6.5%増(1~2月は7.5%増)だった。3月分の工業生産は前年同月比5.0%増で、前月よりも減速した。3月の生産を製品別にみると、集積回路、粗鋼、鋼材、セメントなどがマイナスだった一方、新エネ車、原料炭、産業用ロボット、発電設備は2桁増となった。
消費者物価は3月単月で1.5%上昇(2月は0.9%上昇)した一方、食品価格は豚肉価格の大幅下落(41.4%)などにより1.5%下落した。2022年通年で5.5%以内に抑えるとの目標を設定している都市部調査失業率は3月末時点で5.8%となり、前月比0.3ポイント上昇した(注2・注3、添付資料表参照)。
国家統計局の付凌暉報道官は、第1四半期の経済が全体として合理的なレンジを保ったと評価するとともに、国内外で複雑性や不確実性が増しており、経済の発展がより多くの困難と課題に直面しているとの認識も示した。
新型コロナウイルスの影響については、3月の一部地域での感染拡大により、小売りや飲食・宿泊、交通運輸、旅行などの接触型サービスの消費が減少し、関連産業の生産を一定程度下押ししたほか、一部地域での生産・操業停止により物流が影響を受け、工業生産を制約しているとの見方を示した。他方で、科学的な防疫、減税や費用削減の拡大、マクロ政策の実施強化(注4)、金融面での下支え強化(注5)など、経済の持続的回復に向けた好条件は依然として備わっていると指摘した。
さらに、付報道官は今後の見通しについて、短期的には一定の下押し圧力を受けるものの、2022年通年では安定成長を維持する好条件を依然として多く備えていると指摘し、2022年の目標達成に向けて努力すると述べた。
(注1)2022年第1四半期の実質GDP成長率に対する需要項目別寄度は、最終消費支出(消費)が3.3ポイント、総固定資本形成(投資)が1.3ポイント、純輸出(外需)が0.2ポイントだった。2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率に対する需要項目別寄与度は、最終消費支出(消費)3.4ポイント、純輸出(外需)1.0ポイント、総固定資本形成(投資)マイナス0.5ポイント。
(注2)国家統計局の付報道官は3月の失業率が上昇した要因として、同月の国内での新型コロナウイルス感染拡大によって一部集団の就職の難易度が高まり、就職活動も影響を受けたことを挙げた。また、こうした現象は、生産経営が困難に陥っている企業が増加して雇用の下押し圧力が高まっている表れとの認識を示した。
(注4)インフラ投資などの財源となる地方特別債(専項債)の前倒し割り当て・発行などが指摘できる(地方特別債の発行を大幅に前倒し、無料)。
(注5)中国人民銀行(中央銀行)は4月15日、金融機関の預金準備率を同月25日から0.25ポイント引き下げることを決定した。
(小宮昇平)
(中国)
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