ウクライナ侵攻と対ロ制裁の影響受ける企業への支援策を発表
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
ベルリン発
2022年04月25日
ドイツ連邦政府は4月8日、ロシアによるウクライナ侵攻やロシアへの経済制裁の影響を受けている企業に対する支援策の概要を発表した(プレスリリース)。欧州委員会は3月23日にロシアのウクライナ侵攻に伴う経済支援のための一時的な危機対応枠組みを決定しており、この枠組みを基にドイツ企業を支援する。
主な支援策として、資金難に陥る企業への低金利融資プログラム、エネルギー価格高騰の影響を強く受ける企業への補助金や融資保証などが示された。
ドイツ復興金融公庫(KfW)融資プログラムでは、投資用資金と運転資金について低利融資を提供する。対象となるのは、販売市場の消失による売り上げ減、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアにおける生産損失や工場閉鎖、原材料調達不足による生産損失、エネルギー価格高騰による影響を特に受けているなど、ウクライナ侵攻や対ロシア制裁の影響を証明できる企業。企業規模や売り上げ規模は問わない。融資額は最大1億ユーロ。融資は取引銀行を通じて行われ、KfWが貸し倒れリスクを引き受ける。プログラムの規模は最大70億ユーロ。
また、天然ガスと電気の価格高騰の影響を受ける企業に、2022年2~9月の期間限定の補助金を交付する。エネルギー集約型産業の事業者や、特に化学、ガラス、鉄鋼などの特定分野の事業者が対象となる。総額は約50億~60億ユーロになると試算されている。
このほか、2022年末まで信用保証銀行(注)による保証プログラムの拡充を実施、天然ガスと電力の先物取引を行う企業向けにKfWを通じた最大1,000億ユーロの融資保証の提供、さらに当該企業の存続がドイツ経済に大きく影響する大企業向けの自己資本・ハイブリッド資本支援を今後行うことが記載されている。
ドイツ商工会議所連合会(DIHK)のペーター・アドリアン会長は同日、連邦政府の支援策の導入と内容は「正しい方向性」だと評価する一方で、天然ガス・電気料金の補助金については全事業者を対象とするよう求めた。
なお、欧州委員会は4月19日、連邦政府による支援策を承認した。
(注)ドイツで保証業務を専門に行う金融機関。
(中村容子)
(ドイツ、ウクライナ、ロシア)
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