オミクロン株の感染拡大は「収束フェーズ」へ
(ブラジル)
サンパウロ発
2022年04月12日
ブラジル保健省傘下のオズワルドクルス財団(注1)は4月8日、「新型コロナ観測報告書(3月20日~4月2日)」を公開し、2021年12月末以降に新規感染者数が急増したオミクロン株による新型コロナウイルスの感染拡大は「収束フェーズ」に入ったと分析した。その理由として、新型コロナウイルス感染で重症化するケースは徐々に減少しており、全国の新型コロナワクチン接種も進んでいるためと説明した。
重症化するケースが徐々に減っていることについては、「新型コロナ観測報告書」の作成を開始した2020年7月以降、初めて国内全ての州の集中治療室(ICU)の占有率が60%を下回ったことを挙げた。また、「新型コロナの感染」に起因するSARS(重症急性呼吸器症候群)を理由に入院する割合が、ピーク時で98%に達していたものが、最新の報告書では50.7%まで低下したという。1日当たりの新規死者数(平均値)も、前回の報告値(3月6~19日)では570人だったものが、最新の報告値では62.2%減となる215人となった。
ワクチン接種が進んでいることについては、ブラジル全土で少なくとも1回のワクチン接種を行った人の割合は82.5%、既定の回数の接種が完了した人の割合は75.4%となっている(注2)。
オズワルドクルス財団は、新型コロナウイルス感染拡大が完全に収束したわけではなく、重症化するリスクが高い人を中心にブースター接種をさらに進めることで、死者数や入院者数を減らすことができると説明した。ブースター接種を行った人の割合は人口比で37.1%、70歳以上の人口比で80%超となっている。また同財団は、新型コロナウイルスのワクチン接種率が低い地域での接種率を上げること、新たな変異株を警戒すること(注3)、屋内スペースでマスクを着用することが重要だ、と注意喚起した。
(注1)ポルトガル語の名称は「フィオクルス」。
(注2)いずれも人口比。「既定の回数の接種完了」には1回で完了するワクチンも所要回数完了にカウント。
(注3)ブラジル政府系現地紙「アジェンシア・ブラジル」は4月7日、サンパウロ州立のブタンタン研究所が、オミクロン株のうち「BA.1」と「BA.2」のタイプが組み合わさった新型コロナ変異ウイルス「XE」の国内初感染事例を確認し、保健省もこれを認めたと発表した。
(古木勇生)
(ブラジル)
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