英政府、インフレ対策として、鉄道の割引乗車券販売を発表

(英国)

ロンドン発

2022年04月20日

英国政府は4月19日、割引鉄道乗車券の発売(グレート・ブリティッシュ・レイル・セール)を開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同政府は、2022年から2023年にかけてインフレ対策として、220億ポンド(約3兆6,300億円、1ポンド=約165円)規模の支援策を実施するとしており、今回の割引鉄道乗車券の発売は、この支援策の1つとしている。

割引の対象となる乗車券は、4月25日から5月27日までの、ヨークとリーズ、ロンドンとエディンバラなど英国内の路線のオフピークのチケット。100万枚以上の乗車券が、最大で50%割引となる。グラント・シャップス運輸相は、鉄道費用の削減が家計の圧迫軽減につながるとしたほか、人々が英国内各地を旅行するきっかけになるともした。また、運輸省は、グレートブリテン島の鉄道事業の改革(関連ブラック ジャック ディーラー)が実現すれば、こうした英国全土(network-wide)でのチケット販売がより容易になるとしている。

一方、鉄道利用者の数は、新型コロナウイルス感染拡大前の状況にまだ戻っていない。鉄道・道路局によると、2021年10~12月の鉄道利用者数は約2億8,500万人で、前年同期比で倍増したものの、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同期との比較では38.2%減となった。運輸省が発表する交通手段の利用状況に関する統計でも、2022年3月の、新型コロナウイルス感染拡大前と比較した利用水準(平均、注)については、乗用車が93%、ロンドン除く地域のバスが81%となっている一方、英国鉄道は75%と相対的に低い数値となっている。

利用者数の回復の遅れは、鉄道会社の経営に大きな影響を与えている。2022年3月には、過去9年間で最大の鉄道料金の値上げを実施し、英国鉄道全体では3.8%の値上げとなった。新型コロナウイルス感染拡大前は、運賃は小売物価指数(RPI)に基づき毎年1月に改定されていた。2022年3月のRPIが9%(上昇率)だったことを踏まえると、2023年には大幅な値上げとなる可能性がある(「テレグラフ」紙4月19日)。

交通に関する慈善団体「キャンペーン・フォー・ベター・トランスポート」のノーマン・ベーカー氏は、今回の発表を歓迎した一方で、運賃の大幅な値上げの終了や新たな移動様式に応じた運賃やチケット販売の再調整など、さらなる対策の実施を求めた。

(注)日ごとに発表される水準を単純平均した。乗用車は2020年2月第1週の同曜日比、バスは2020年1月第3週の同曜日比、鉄道については2019年の同じ週との比較。

(島村英莉)

(英国)

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