ジョンソン英首相、中東首脳と相次ぎ会談、エネルギー安保を議論
(英国、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール)
ロンドン発
2022年03月22日
英国のボリス・ジョンソン首相は3月14日と16日に中東各国の首脳と相次いで会談、ロシアによるウクライナ侵攻やエネルギー市場の混乱について議論した。
ジョンソン首相はまず14日に、カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長と電話会談。ガスの安定供給や再生エネルギーの推進など世界のエネルギー安全保障の強化に向けて協力することで合意した。
16日には中東を訪問し、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国のムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン皇太子とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と会談した。訪問に際しては、ウクライナ情勢を踏まえたロシア政権への外交的・経済的圧力の強化や、エネルギー安全保障の強化、エネルギーと食料品の価格変動抑制などを議題とするとしていた。また、両国の原油増産に向けた追加措置のほか、英国のエネルギー供給元の多角化と国際的なパートナー連携による再生エネルギーの増産にも焦点を当てるとしていた。
しかし、英国とサウジアラビア、UAEとの間では、国際石油・ガス市場の安定性を確保する必要性については合意したものの、原油増産の確約には至らなかったと報じられた(3月17日付「フィナンシャル・タイムズ」紙、3月17日付「ロイター」)。
英国政府によると、ジョンソン首相のサウジアラビア訪問に合わせて同国の産業機器・エンジニアリング企業アルファナル・グループがティーサイド(注)での「ライトハウス・グリーン燃料・プロジェクト」に10億ポンド(約1,580億円、1ポンド=約158円)を投資することを確認予定とした。同グループはこの投資により、廃棄物から持続可能な航空燃料を大規模生産することを目指すとしている。
産業界トップとエネルギー安保で議論
ジョンソン首相は3月14日、英国の洋上石油・ガス業界のリーダーらを招いた会議を開催し、国内のエネルギー安全保障について議論。北海の石油・ガス産業への投資増や国産ガスの供給拡大について議論したほか、低炭素水素の生産や新たな炭素回収プロジェクトなど、将来のネットゼロに向けた技術提供について同産業が果たす役割についても言及した。
(注)ティーサイド(Teesside)は、イングランド北部のティーズ川を囲む地域を指す。
(オステンドルフ・七海・ありさ)
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