大統領選に向け、現職マクロン氏人気に陰りも、優勢は依然続く
(フランス)
パリ発
2022年03月31日
4月10日に行われるフランス大統領選挙の第1回投票に向け、選挙の公式キャンペーンが3月28日から開始された。世論調査各社は、再選を目指す現職のエマニュエル・マクロン大統領が27~27.5%、急進右派・国民連合のマリーヌ・ルペン候補が19.5~21%の支持を得て、4月24日の決選投票に進むと予想するが、3月25日時点で有権者の40%が投票先を決めていないとしており、選挙の行方は予断を許さない状況だ。
マクロン氏の優勢が続くものの、ロシアの軍事侵攻によるウクライナ危機への対応に好感して3月初めに30%を超えた同氏の支持率は、選挙公約に盛り込まれた法定退職年齢の65歳への引き上げやガソリン価格の高騰対策への不満などから、ここにきて低下に転じた。第1回投票前に他の候補者との討論に応じないマクロン氏の姿勢にも批判が高まっている。
一方、購買力強化を選挙キャンペーンの柱に掲げるルペン候補は、ガソリン価格の高騰を背景に支持率を伸ばしている。自身が掲げる移民政策の見直しにより浮いた財源をガソリンの付加価値税引き下げ(現行20%から5.5%)に充てると公約し、同じ急進右派で移民対策に重点を置くエリック・ゼムール候補(支持率10~12%)、右派・共和党のバレリー・ペクレス候補(同9~12%)に大きく差をつけた。
左派陣営では、急進左派・不服従のフランスのジャン=リュック・メランション候補(同13%~15.5%)が生活必需品の価格凍結や、法定退職年齢の60歳への引き下げ、富裕層への増税、年間2,500億ユーロ規模の財政支出など左派色の強い選挙公約を掲げ、支持率が低迷する社会党(同2%)、ヨーロッパ・エコロジー・緑の党(同5~6%)、共産党(同3.5~4%)の候補支持者の取り込みを狙う。
3月25~29日に行われたイプソス(Ipsos)社の世論調査は、決選投票になった場合、得票率56%対44%でマクロン氏がルペン氏に勝利すると予測。メランション氏との決選投票なら、60%対40%でマクロン氏が勝利すると予測している。
(山崎あき)
(フランス)
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