マクロン大統領、プーチン大統領との対話を継続、長期戦に備え経済レジリエンス計画の策定へ
(フランス、ロシア、ウクライナ、EU)
パリ発
2022年03月04日
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は3月2日、国民に向けてウクライナにおける戦争について演説を行い、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を、フランスや欧州による外交努力にもかかわらず「単独で意図的に戦争を選んだ」と強く非難する一方、「ロシアと戦争をしているわけではない」として、金融・経済制裁措置を実行しつつ、今後も停戦に向けプーチン大統領と可能な限りコンタクトを継続する意向を示した(フランス大統領府プレスリリース)。
ウクライナ情勢について、マクロン大統領は「これから日に日に過酷になるだろう」と見通し、ウクライナ避難民のフランスへの受け入れを進める一方、戦争の影響で予想されるエネルギー価格のさらなる上昇や貿易取引の混乱などの問題に対応するため、ジャン・カステックス首相に対し、経済・社会レジリエンス計画を数日中に策定するよう求めた。大統領はまた、最も影響を受ける産業セクターを支援するため、ロシア、ウクライナに代わる新しいサプライヤーや新しい販路を求め、米国、欧州、中東の首脳と会談したことを明らかにした。
マクロン大統領はさらに、ウクライナでの戦争を「時代の変化を告げるもの」と捉え、フランスは国防費を拡大し、パンデミック下で強化してきた経済、研究、イノベーション分野での自立に向けた投資戦略を継続していく方針を示した。また、欧州として、より自律した、より強い主権を確保するために、域外への依存を減らし、自ら決定できるよう投資しなければならないとした。
特にエネルギー分野では「もはやロシアのガスに頼ることはできない」ことから、フランス国内における再生可能エネルギーの開発と原子炉建設の再開を実施するとともに(2022年2月17日記事参照)、欧州レベルでのエネルギーの安全保障を確立する戦略を後押しする。欧州の防衛戦略についても「陸上、海上、海中、空中、宇宙、サイバー空間など、われわれの防衛を他者に依存することはできない」とし、3月10~11日にフランス・ベルサイユで開催する特別欧州理事会(EU首脳会議)において、これらの問題について決断を下すとした。
(山崎あき)
(フランス、ロシア、ウクライナ、EU)
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