国連総会がロシア非難決議を採択、ブラック ジャック ディーラー
(米国、ロシア、ウクライナ、日本、オーストラリア、インド)
ニューヨーク発
2022年03月04日
国連総会は3月2日、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて緊急特別会合を開催し、ロシアに対して軍事行動の即時停止を求める決議案を141カ国の圧倒的賛成多数で採択した。
193の国連加盟国のうち、反対票を投じたのはベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、ロシア、シリアの5カ国のみで、棄権は35カ国だった。日本を含めた90カ国以上が共同提案したもので、決議に法的拘束力はないものの、ロシアに対して「即時に完全かつ無条件で、国際的に認められたウクライナの領土から全ての軍隊を撤退させるよう」強い言葉で要請している。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「国連総会のメッセージは強力で明確だ。ウクライナでの戦闘行為を今すぐ止めろ。銃声を今すぐ静めよ。対話と外交への扉を今すぐ開け」とロシアに呼び掛けた。米国のジョー・バイデン大統領も「グテーレス事務総長の言うとおり、我慢の限界だ。われわれはロシアの責任を追及していかなければならない」との声明を出している。
国際機関に関係する動きでは、世界銀行が3月2日にロシアとベラルーシにおける全ての事業を即時停止したと発表。世界銀行はロシアがクリミア半島を併合した2014年以降、同国に対する新規の融資および投資を承認しておらず、ベラルーシに対しても2020年半ば以降、新規の融資を承認していない。また、世界銀行とIMFは3月1日にウクライナ支援に係る共同声明を発表している。同声明によると、ウクライナは6月末までにIMFから22億ドルの追加調達が可能となり、世界銀行は今後数カ月で30億ドルの支援パッケージを展開する予定だ。
クアッド首脳がウクライナ情勢を議論
日本・米国・オーストラリア・インド4カ国〔クアッド(QUAD)〕の首脳は3月3日、ウクライナ情勢がインド太平洋地域に及ぼす影響などについて議論を行った。米ホワイトハウス公表の会談要旨によると、4カ国の首脳は、域内の全ての国が主権と領土の一体性を尊重され、軍事的、経済的、政治的な抑圧を受けることのない「自由で開かれたインド太平洋」へのコミットメントを再確認した。その上で、ウクライナ情勢の影響について議論を行い、新たな人道支援・災害救済メカニズムを立ち上げ、インド太平洋地域における将来的な人道的危機に備えるとともに、各国がウクライナ危機に対応するためのコミュニケーション・チャンネルをつくるとしている。最後に、数カ月以内に東京で対面の会談を実施することで合意した。なお、4カ国の中でインドのみ、上述の国連総会の決議に棄権している。その他3カ国は賛成を投じた。
(磯部真一)
(米国、ロシア、ウクライナ、日本、オーストラリア、インド)
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