ASEAN物品貿易協定の見直し交渉開始を宣言
(ASEAN)
ジャカルタ発
2022年03月25日
ASEAN経済相会合(AEM)リトリート(非公式会合)が、オンライン形式で3月16日に開催された(ASEAN事務局プレスリリース)。カンボジアがASEAN議長国を務める2022年最初の経済相会合となった。同会合では、ASEAN物品貿易協定(ATIGA)アップグレードのための交渉開始が宣言されたほか、カンボジアのASEAN議長国としての19項目からなる優先経済デリバラブル(PED)が承認された。
ATIGAは2010年8月に発効したASEAN加盟10カ国間の物品貿易協定で、2018年1月から加盟国間における関税が原則撤廃されるなど、ASEAN経済共同体の基盤となるものだ(2018年1月19日記事参照)。ATIGAアップグレードは、「ASEAN域内貿易の可能性を最大限に引き出し、経済統合深化のため」とした上で、「非関税障壁への対応、透明性の促進、世界および地域のサプライチェーンへのASEAN加盟国の参加促進、デジタル化やグリーン経済などの新たな課題への対応を通し、貿易を促進する」ことを目的とする(シンガポール貿易産業省プレスリリース)。
新型コロナ関連の貿易円滑化措置を2024年まで延長
また、新型コロナウイルス感染拡大に対応するため、2020年6月のASEAN経済相会合で合意したハノイ行動計画(注)に基づく、「エッセンシャル物品の非関税措置の実施に関する覚書」の有効期間を2024年11月13日まで延長するとともに、対象品目を拡大することで原則合意した。
2022年の議長国カンボジアによる19項目のPEDは、(1)デジタルコネクティビティおよび科学技術の強化、(2)ASEANの競争力のための開発格差の縮小、(3)より統合的、包括的、強靭(きょうじん)で競争力のあるASEANの推進、(4)成長と開発のためのグローバルASEANの推進、の4本柱からなり、具体的には、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の全面的導入や、デジタルスタートアップ企業エコシステムの成長を促すフレームワークの設立を目指す(添付資料参照)。
(注)新型コロナウイルスへの対応として、ASEANの経済協力とサプライチェーン連結性を強化する計画。
(上野渉)
(ASEAN)
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