米税関、マレーシア産パーム油を差し押さえ、強制労働を理由に
(米国、マレーシア)
ニューヨーク発
2022年03月10日
米国税関国境保護局(CBP)は3月8日、強制労働によって製造されたとのブラック ジャック 勝率に基づき、メリーランド州ボルチモア港でマレーシアから輸出されたパーム油を差し押さえたと発表した。差し押さえられたパーム油は、マレーシア企業のサイム・ダービー・プランテーション(Sime Darby Plantation)およびその子会社・合弁会社が製造に関与し、粉末状に精製されたパルミチン酸約54万ポンド(約245トン)分となる。金額は合計約250万ドルに相当する。
CBPは2020年12月、強制労働を理由にサイム・ダービー・プランテーションが製造したパーム油およびそれを含む製品に対する違反商品保留命令(WRO)を発表(注1)。2022年1月には、同社が強制労働を用いてパーム油などを製造していると正式に認定した(2022年2月4日記事参照)。CBPは2021年11月以降、同社が製造に関与したパーム油の輸入を4回にわたって差し止め、輸入者に対し、それら商品を米国外に輸出するか、商品が強制労働に依拠していないことを証明するよう求めたが、定められた期間に対応が取られなかったため、商品を差し押さえたとしている(注2)。差し押さえられた商品については、税関が没収の法的手続きを開始する。
マレーシア産パーム油をめぐっては、CBPは2020年9月、FGVホールディングスに対してもWROを発令している。パーム油以外では、同国産の使い捨て用手袋に対するWROを2021年以降で4件発表している(2022年2月4日記事参照)。
(注1)CBPは、1930年関税法307条に基づき、強制労働に依拠した製品の輸入を差し止める権限を有する。
(注2)輸入者は、輸入日から3カ月以内に証明書類を提出する必要がある。米国における人権関連法・規制や、サプライチェーンに関わる規制の運用、実務上の対応などについては、人権侵害に対する施策が日系企業にも影響(米国)参照。
(甲斐野裕之)
(米国、マレーシア)
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