日米政府、日米貿易協定に基づく対米牛肉セーフガード適用条件見直しで実質合意
(米国、日本)
ニューヨーク発
2022年03月25日
日米両政府は3月24日、日米貿易協定に基づく米国産牛肉に対するセーフガード措置に関する協議で実質合意に至った。
この協議は、日本が2021年3月18日に同協定に基づき米国産牛肉に対するセーフガード措置を発動したことを受けて開始された(注1)。同年3月25日に第1回協議が行われ、その後複数回の協議を経て今回、実質合意した。
日米両政府はセーフガード措置の適用条件の見直しに合意した。日本の農林水産省と外務省の発表によると、米国産牛肉に対するセーフガードについて、米国および環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)締約国からの牛肉の合計輸入量がCPTPPの発動水準を超える場合に発動する仕組みを導入する(注2)。ただし、この発動は、米国からの輸入量が日米貿易協定で定めた発動水準を超えることが条件となる。同協定の発動水準は維持するが、2026年度まではある年度の米国からの輸入量が翌年度の発動水準を超える場合は、翌年度(2027年度まで)に限り、当該輸入量を発動水準とする。
今回の合意内容は同協定の改正議定書として署名後、両国の国内手続きを経て発効する予定だ。日本側では国会承認が必要となる。米国通商代表部(USTR)はプレスリリースで、日本と協議の上、適切かつ最も早い時期に最終的な条文を公表するとしている。
USTRのキャサリン・タイ代表はプレスリリースで、今回の合意はバイデン・ハリス政権による貿易パートナーとの通商協議の解決の一例であり、米国の生産者と労働者にとって市場アクセスと経済的機会を増やすと評価した。
(注1)牛肉に対するセーフガード措置は、協定の付属書I第B節第4款9で定めている。日米貿易協定に関連して作成された2国間の交換公文では、セーフガード措置が取られた場合、両国は発動水準について協議を開始するとしている。
(注2)今回合意した仕組みは、期限なく日米貿易協定に基づくセーフガードに適用される。
(甲斐野裕之)
(米国、日本)
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