英政府、一部輸入品への追加関税など新たな対ロ制裁を発表
(英国、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)
ロンドン発
2022年03月16日
英国政府は3月15日、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う新たな制裁措置を発表した。制裁の概要は以下のとおり。
- ロシア、ベラルーシからの一部輸入品に対し、最恵国税率の適用を撤回。鉄鋼、機械製品、木材などに35%の追加関税を適用(対象リスト)。
- ロシアへの奢侈(しゃし)品輸出を禁止。
- ロシア、ベラルーシの個人370人超に対し、英国内の資産凍結と英国への渡航禁止措置を導入。
歳入関税庁(HMRC)の貿易データを基にジェトロが計算したところ、追加関税の対象品のロシア、ベラルーシからの輸入額(2021年)は約9億4,250万ポンド(約1,451億4,500万円、1ポンド=約154円)で、両国からの輸入額全体の約5%を占める。
また、英国輸出信用保証局(UKEF)は同日、政府によるロシア、ベラルーシ向けの輸出信用保証を停止すると発表。一方、ウクライナについては35億ポンドの規模で、英国の対ウクライナ輸出を引き続きサポートすることを確認した。輸出支援については、10日にもウクライナの人道危機の影響を受ける者への支援のために輸出される物品の通関手続き緩和を発表。ロシア、ベラルーシ向け、または両国を経由しないことを条件に、歳入関税庁(HMRC)への事前の通関申告の提出や輸出後の通知などの手続きも免除する(英国政府ガイダンス参照)。
英国内の資産凍結と英国への渡航禁止措置の対象については、11日にも対象の拡大を発表しており、ルガンスクとドネツクの独立に賛成したロシアの国会議員386人を追加していた。
英政府が2月28日に発表した経済犯罪(透明性と執行)法(2022年3月3日記事参照)も15日に成立。政府は、同法により既に他国で制裁対象となっている新興財閥(オリガルヒ)への制裁発動の迅速化や制裁の執行強化につながるとしている。
財務相は英国企業に対ロ投資の停止呼びかけ
リシ・スーナック財務相は13日、英国企業に対し、プーチン政権の支援につながり得る投資について、注意深く検討するよう呼びかけた。また、エネルギー大手のBPやシェル、保険大手アビバ、保険・資産運用大手M&Gなどによるロシア事業の縮小、撤退に関するコミットメントを歓迎した。
(山田恭之)
(英国、ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)
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